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2011年12月18日 (日)

「世界はひとつ」ではない・・・と思う話

息子とふたりで、いつもの喫茶店に寄った時の会話。
記憶によるものを変えているから喋った通りではないし、言ったのがどちらかの割り振りも少し変えている。

Ponkikki

「おとうさん、インターネットの世界、ってどうなってるの?」

「世界って?」
「うーん、世界って、なんだろうね、ボクにも分からないなぁ」
「インターネットは、いろんなコンピュータが、人の決めた約束の仕組みで繋がってるだけだよ」
「どういうことなんだろう」
「ひとつひとつが、人の決めたネットの言葉で住所を決めてもらって、それぞれを訪ねあえるようにしているんだよ」
「どうやってまとまってるのかなぁ」
「まとまってるわけじゃないよ。ひとつひとつは、あくまで別々のものなんだ。住所があるから、お互いどこにいるかが分かるだけだよ」
「じゃあ、どうやって世界になってるの?」
「世界って、まとまりだとおもってる?」
「そうじゃないの?」
「違うと思うよ。ひとつひとつのコンピュータの中にはそれぞれのデータがありはするけれど、それを覗きたければ覗ける、ってだけがインターネット な訳だ。じゃあ、よそはどうなっているのか、っていうのは、こっちのコンピュータからは、あてずっぽうの呪文を唱えてみて、その呪文で訪ね当てた住所の中 の<世界>しか見ることが出来ない。その<世界>って全体はどうなってるのか、ってのはさ、あんたの頭の中で想像して、見えないところを補うわけだ」
「ふうん、むずかしいな」
「補っているその想像の<世界>は、想像している人の頭の中に、想像している人の数だけあるんだよな」
「んじゃ、<世界はひとつ>じゃないんだね」
「うん、ひとつ、じゃあないと思うよ。だから、素敵な世界を何人かの誰かと一緒に作りたい、と思っても、そこで出来る世界も、たぶんひとつじゃな い。みかけが同じだけで、本当は、人数分だけ別の世界があるのを、お互いの約束を決めて、お互いの想像を崩さないようにしているだけなんだと思うよ。だか ら、お母さんが生きていたときお母さんの中に持っていた世界は、僕たちにはないわけだ」
「そうだよねぇ、お母さんの思ってたことの一部分しか、ボクたちは覚えていないわけだもんね」
「じいちゃんばあちゃんから見たお母さんの世界は、<自分たちが育てたからこうだったはずだ>ってとこでお母さん自身のものとは違ってるんだし、 君らは育ててもらう時にお母さんがこうしていたああしていた、っていうところから想像しているものだから、やっぱりお母さんの<世界>そのものじゃあな い」
「なんだかますます分かんないなぁ」
「大切なのは、だからといってどれかがどれかより価値が低いってことは全然ないことなんだよ。それがもう、お母さんそのものの<世界>ではなく なってしまっていても、インターネットが繋がっていれば他所が覗けて、そこから持って来たデータを保存しているみたいに、間違いなく、生きていたお母さん の<世界>を同じ重さで受け継いでいる。それはじいちゃんばあちゃんの<世界>の一部になってしまってたり、あんたらの<世界>の一部になっていたりして いるだけでも大きな意味をずっと持ち続けてくわけだ。」
「誰がどうお母さんを思っていて、それが別の誰かが思っているのと違って見えても、それはお互いにどこかで繋がってる、みたいなことなのかな」
「そうだと思うよ。世界は世界を想像する人の数だけある。でも、全く別々にあるわけじゃなくて、共通に接点のあった人から受け継いだ何かを、同じ 重さで持っている。その共通のところを見つけあいながら、お互いに違うところをもきちんと正面から見つめあって、違いをお互いに大切にしあいながら繋がり あっていかなくちゃあならない。・・・それがもっとも難しいことなんだ。繋がりあうには、自分は自分の<世界>に、すぐがんじがらめにされるからね。おと うちゃんは、そういうところが本当にへたくそだし、失格だと、自分をそう思っているよ。頑張ってちょ。頼むよ」
「サッパリ分かんないけど、まあいいや。頑張るよ」

2011121716310000

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