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2008年6月 4日 (水)

コンサートチケット代雑感

ちょっとした数字のお遊びです。
実像とハズレが大きいかと思いますので、あんまり本気にしないで下さいね。

私は、残念ながら、ポップ系は仮に好きな歌手がいたとしても、鼓膜が耐えられませんので、ステージでのコンサートには出かけません。CDで充分、という偏屈な人間です。

じゃあ、ここでいつも話題にしているクラシックのコンサートは、となると、これは今、家庭の事情で出かけられません。

でも、子供達はオーケストラ型の音楽が好きですし、いい団体が来れば、娘はいま音楽の修行中(レベル低いかも知れないけれど・・・高校には恵まれました)、息子も映画音楽には非常に興味があります(ただし、こちらは自分では楽器の演奏はしていません)から、親としては
「連れて行って聴かせたい」
というのが、人情というものです。

本当は別に、クラシックに限らなくてもいいのですが、じゃあ、「いい団体」はどのくらいの入場料が相場なのか、と調べてみますと、・・・じつはその前に「いい団体」とはどういう団体を指すのか、という問題がありますが、これは3種類に決め付けてしまいましょう。かつ、本当に「音楽的にいい団体」なのかどうか、という突っ込みは、とりあえずしないことにしましょう・・・、最近の外国人演奏家の場合は、こんなところです。

1)クラシックを知らない人にも有名で大きな団体
ウィーンフィル:S席35,000円、最安値席16,000円(サントリーホール
ベルリンフィル:S席40,000円、最安値席12,000円(サントリーホール)

2)クラシックマニアならば有名で中小規模の団体
・ラ・プティット・バンド:A席3,500円、最安値席(学生席除く)(ノバホール

3)最近日本で知名度の上がりつつある大きな団体
・上岡敏之/ヴッパータール交響楽団:A席4,000円(S席5,000円)最安値席2,000円・・・昨年。(ノバホール)〜原則としてオーケストラの場合のみS席を設定していらっしゃるようです。)
ロサンゼルスフィル:S席24,000円、最安値席9,000円(サントリーホール)
プラハ放送響:S席16,000円、最安値席5,000円(サントリーホール)

・・・これらのチケット料金、妥当なのでしょうか? どんな付加価値体系から計算されているのでしょうか?



元となるコストで考えてみましょう。

ステージ使用料だけでみると、最安値に設定できるチケット料金は、以下のようになります。

サントリーホール(大ホール)平日:午後=105万円、夜間=126万円 合計2,310,000円
客席数=1,998
使用料のみの損益分岐点(入場率90%として1798人)1,285円/席

つくばノバホール平日:午後=43,800円、夜間=57,100円 合計100,900円
客席数=1,003
使用料のみの損益分岐点(入場率90%として903人)112円/席

ホールによって、使用料だけで大きな差があり、サントリーホールはノバホールの12倍かかってしまう、ということが分かります。

ただ、実際にコンサートを行なうには、まず、固定経費として、ホールだけではなく、楽屋の使用代、反響板や雛壇設置の作業料、音声・照明のための設定費用など、さらにピアノ協奏曲をやる場合でしたらピアノの使用料と調律代がかかります。これは一応、工場で言うところの間接費に当たるでしょうから、それを人件費と捉えても、ホールによって一人当たり絶対額には大きな差はないと考えましょう。
すると、非常に単純に見てしまえば、サントリーホールはノバホールの2倍規模ですから、間接経費も倍、ということになるかな。
1日の一人当たり間接費をいくらと見ればいいのかは分かりません(単純に労務費だけではありませんで、費用全般を一人当たりに均した仮想の数字です)ので、高いか安いか分かりませんけれど、50,000円/人/日、としておきましょうか(午後から夜間)?
実作業員は、団体規模を問わず、同人数だとします。ただし、ホール規模に比例するとします(あくまでモデル計算ですから)。

ノバホールで、仮に10人だとしますと、50万円。サントリーホールは倍なので、100万円。

これが上乗せされた場合、先ほどの損益分岐点代金は、
サントリーホール:1,840円(上乗せ額555円)
ノバホール:666円(上乗せ額554円)
となります。

さて、ここからです。
アマチュアは自己の報酬目的ではないですから、回収しなければならないのは、演奏会へ向けての練習にかかる経費(会場代・楽譜購入もしくは借入と練習用複写代金と、有償でお手伝いを頼んだ方にお支払いするお礼、花束代、大型楽器の保管・運搬代)といったところですが、だいたいどんな団体も「団の会費」でまかなうのが通常ですから、仮にチケット代を1,000円として売りさばいた場合には、

・サントリーホールでは150万円の赤字が出る(使用経費330万円−総売上180万)
・ノバホールでは30万円の黒字が出る(使用経費60万円−総売上90万円)

というところが、楽団経費を無視した際の目安となります。

では、1回のコンサートについての、本職さんの一人当たり経費はどう見積もりましょうか?
練習経費はそれぞれの地元でまかなっているものとして、
・国内団体ならば算入
・海外団体ならば不算入
となりますが、今は話を単純にするために、国内団体は考えないことにしましょう。(ここまででも充分複雑でしたか・・・?)

・日本への往復旅費÷公演回数(5回としましょう)
・1回あたりの移動交通費
・日当(食事代含む)
・宿泊費
・一回当たり大型楽器運搬費〜見当がつかないのですが、1楽器あたりを一人当たり交通費と同じと考えましょう。
(※すみません、後で読み直したら、この分、過大計上になっていました。やりなおすのが面倒くさいという非常にいい加減な理由からですが、そのままにしておきます。ゴメンなさい。)

というところでしょうか?
おおよその金額の仮想数字を決めきってしまってみましょう。

・日本への往復旅費÷公演回数=片道15万×2÷公演5回=60,000円
・1回あたりの移動交通費=30,000円
・日当(食事代含む)=30,000円
・宿泊費(ごく普通の宿泊として・・・ややいい値段で)15,000円
以上の合計=135,000円

・一回当たり大型楽器運搬費は、台数、メンバー数で変わりますから、1台あたり9万円(高いかな?)ということで、トータル経費を出す際に別途上乗せしましょう。

この他に、指揮者やソリストがいれば、特別報酬を別枠で考えることになります。
指揮者報酬・ソリスト報酬は、もっと高いのかもしれませんが、1回あたり合計を100万円としましょう。

上記の前提で行きますと、楽団のかかりコストは、

10人の団体、大型楽器2台(コントラバス1、チェンバロ1)で、特別経費無しの場合
(135,000×10)+(90,000×2)=1,350,000+180,000=1,530,000円

100人の団体、大型楽器14台(コントラバス10台、ハープ2台、ティンパニ3台扱い、打楽器一式2台扱い)だと、特別経費まで込みで
(135,000×100)+(90,000×17)+1,000,000=13,500,000+1,530,000+1,000,000
・・・上乗せコストは、16百万円となります。

さて、損益分岐点は、どうなるでしょうか?
・サントリーホール
 10人の団体 〜上乗せ額153万円÷1,798席=850円、従って、最低チケット代2,690円
 100人の団体〜上乗せ額1,600万円÷1,798席=9,800円、従って最低チケット代12,000円
 
・ノバホール
 10人の団体 〜上乗せ額260万円÷903席=2,880円、従って最低チケット代3,500円程度
 100人の団体〜上乗せ額1600万円÷903席=17,700円、従って、最低チケット代18,000円程度

どうやら、先に分類したうちの2)については、ほぼ妥当な線で価格が出ているかな、と見受けますので(サントリーホールは私企業の運営ですので、その分のコストの上乗せがあるのはやむなし、と見なせば、掲載はしませんでしたが、小規模団体の料金設定は大きく外れていそうに無いと考えました)、ここからは1)と3)の大きな団体について検討しましょう。


さて、以上は、まず最安値のチケット代設定を見てきたものです。 最高値と最安値の中間値を標準価格と想定した場合の利益を比較してみましょう。 実際には、ノバホールは招聘団体のコンサートの準備はボランティアで行なわれているそうですから、実際には50万円の上乗せ分がないので、その分は固定コストの差引額には加えません。 (すると、先日のラ・プティット・バンドのチケット価格は概ね損益トントンの線かな、という感じになります。・・・実際はそれでは他のコンサートが企画できないので、固定的な間接費を高めに見てしまっているかもしれませんね。)

・サントリーホールのベルリンフィル:標準価格=28,000円
 〜総売上高50百万円!、楽隊コスト16百万円、固定コスト330万円・・・差引30.7百万円!
・ノバホールのブッパータール交響楽団:標準価格=3,500円
 〜総売上高3百万円、楽隊コスト16百万円、固定コスト10万円・・・差引▲13百万円。。。


疑問点。
・サントリーホールのベルリンフィルは、本当に高すぎないのか?誰かボロ儲けしてるんじゃないか?
 (だって、クラシックマニアじゃない人も名前を知っている団体で、指揮者もスター的存在だ!)
・ノバホールの昨年のブッパータール交響楽団の価格は何故あそこまで抑えられたのか?

先ほど仮想金額を出した「最低チケット料金」に対して、
・サントリーホール「ベルリンフィル」S席は2.33倍
・ノバホール「ブッパータール交響楽団」S席は、0.19倍!

かつ、サントリーホールだけで見ますと、同じ設定方法で標準価格を考えると、、
・ロサンゼルスフィルは想定最低価額の1.33倍
・プラハ放送響は同じく0.88倍
で、ベルリンフィルとの格差がかなり大きいのも「?」ですね。

「じゃあ、ウィーンフィルとか、さらにベルリンフィルは高すぎるんじゃないか?」
とは簡単に結論付けられないのであります。実は、次の点を考慮していません。

・実際には、この上に、さらにコストとして、折衝料金(代理者・仲介者がいればその分割高になるが、代理者や仲介者が必ず必要な団体は少なくない。折衝も、たとえばオーケストラの場合は、指揮者・オーケストラ事務局・独奏者それぞれに対し別途必要になる)ため、その係りコストを考えなければならない。
・ホールによってはロビーサービス込みでの「チケット価格」設定がしてあるので、ロビーサービスのコストも別途考慮する必要がある。
・さらに、広告宣伝費は高くつく。私企業でも、集客が確実に見込める団体でなければ、たとえばテレビコマーシャルはあまり打てない。(サントリーホールにつきましては、私が目に出来たテレビコマーシャルはベルリンフィルのみで、15秒程度の静止画像ものが数回きりです。)
・有名団体、個人の報酬は割高である。・・・いちおう、織り込み済みモデルのつもりではあるつもりですが。
・で、当然ながら、ホールの運営団体の間接経費(維持費や事務費など)の回収も検討した価格設定が必要である。

そういうものを上乗せして、演奏者・折衝者・ホール運営者全ての利益が最小限確保できた、その先からが余剰金となるのですよね。(そこに税金がかかって、それを差し引いて初めて、純利益および繰越可能な「剰余金」の計算ができる、というわけです。)



後の方の疑問から(あくまで仮想の世界ではありますが)検証してみましょうか・・・

で、ためしに、ブッパータールの楽団費用を、先ほどの総定額の2分の1で費用半分、大型楽器の運搬費を交渉で5万円一括にしてしまって、人員は70人、特別報酬額を5分の1(!)にしてみましょう。

(7万円/人×70人)+5万円+10万円=約5百万円

・・・まだ200万円赤字・・・。(実際には人数も多ければ運搬経費ももっとかかったはずですが、ここは仮想の世界で通します。)

では、入場者が100%だったら?・・・前提とした標準価格では50万円改善します。
あるいは、S席、A席を増やして標準価格を上方修正して赤字解消する。どれくらいの修正が必要か?

まず、最初の想定の場合は、入場者100%であれば、先ほどの標準価格設定で50万改善します。
しかし、縮む赤字も50万円だけです。
12.5百万円の赤字を解消するには、一席あたり12,500円もの上乗せが必要(すなわち、標準価格を16,000円にしなければならない)で、ちょっと成り立ちません。

変えてみた楽団費用では、赤字200万円の解消で済みますから、標準価格への上乗せは2,000円程度で済みます。
それでも、標準価格が5,500円となってしまいますから、S席の5,000円を500円超過してしまいますので、アウトです。
ということは、楽隊経費を更に値切らなければならない。一人あたま1万円強下げれば、約4百万円となります。・・・でも、楽隊側はギリギリの経費だとしますと、
「じゃあ、公演回数を増やしましょう!」
という解決策になるしかないのかな?
すると、来日往復費用が1回あたりの公演で200万円減るためには、70人の団体なら全公演数で21百万円なので、公演数を倍にしてもらえばいい(10回!)。

「いやあ、増やせて2回までよ」
となると、1回あたりがまだ100万円超過です。
これを標準価格に転嫁すると、補正すべき標準価格は、ほぼ1,000円です。・・・これは、調整可能な額でしょう。
今まで述べませんでしたが、標準価格は、「算術中項」という、最も簡単な方式で出したものです。すなわち、最高値と最安値の中間値です。ですから、実際には、ここから席数のバランスを考えての変更は、実際上は必ず必要になります。
で、このケースをもう少しモデル化して、
・入場者数1,000名が確実である
・最高値は5,000円で、以下、1,000円刻みで安い席を設け、最安値を2,000円とした4クラスとする
・上記4クラスの入場料の標準価格は4,500円である=総売上高450万円が損益0価格である
という前提にした場合、・・・当然、5,000円席が圧倒的に多くなるのは予想出来ますが、それでも
*5,000円席=400席〜2,000,000円
*4,000円席=500席〜2,000,000円
*3,000円席=100席〜 300,000円
*2,000円席=100席〜 200,000円
という配分でペイできることになります。

あくまで仮想の数字で行なっていることですから、モデル的にしか考えられないわけですが、以上から考えられるのは、
「招聘費用を極力抑え、いい値段の席を多めに設ける」
という、まあ、あたりまえの対策が、それでも地道に必要だ、という点でしょうか?
すると、客席数が標準的なホールでは、編成の大きな曲の公演は、単独では企画し得ない、ということが見えてきます。そうした中で、団体を招聘し最大限の効果をあげようと努力なさっているかたがたが「ボランティア」だというのは、本当に頭が下がる思いです。・・・実際には、次にみていくサントリーホールモデルでの間接経費等の上乗せ部分の抑制努力も必要なのですが、ボランティアの存在が、企業運営に比べれば(人的負荷をお金に換算しない限りでは)余剰コスト削減にも大きな役割を果たしていることは一目瞭然です。



サントリー・ホールの方を見てみましょう。

いままで見てはきませんでしたが、最安値のプラハ放送響で採算を出してみると、

標準価格は「算術中項」では、
(最高値16,000円+最安値5,000円)÷2=10,500円
であり、集客率90%とします。

総売上高約19百万円、楽隊経費(最初の設定)16百万円、固定経費330万円〜差引▲30万円

・・・と、これまでの仮想経費では損が出ることになります。当然、この損にプロモーター(仲介費用)費用や広告宣伝費、間接経費が上乗せで足を引っ張ることになります。

同じ事をロサンゼルスフィルでやると、標準価格は16,500円になりますから、

総売上高約30百万円、楽隊経費(最初の設定)16百万円、固定経費330万円〜差引11百万円。
すなわち、この価格で、やっとベルリンフィルの3分の1の収益を得られる、ということになります。

間接経費等を無視した損益分岐点の総売上高は約2千万円。このときの標準価格は(入場者90%として)約11,000円(切捨計算)です。
この前提から、今取り上げた2団体の「ごく当たり前に考え付くだけの」採算向上策を単純に述べれば、

・プラハ放送響〜ホールの間接経費分をまかなえる分だけ楽団コストを下げ、プロモーター費用は値切れるだけ値切り、広告宣伝費用は一切かからない方法を案出する!

・ロサンゼルスフィル〜間接費は1日分に配分した額を払うとして(地代等を含む維持費・事務費が中心でしょうが、ロケーションと規模からいって、かなりな年額でしょうね・・・で、ホール経営には、稼動可能日が7割だとすると、その7割の稼動で一年分を回収しなければならないわけですから、1年=256日での日額計算になります。まあ、これは余談。但し、仮に2億だとしたら、ホール側は約80万円を貰えばいい、という勘定です。それで済んでいるかどうかは、何とも言えませんけれど。)、それが約100万円だとすれば、残り1千万円をプロモーター費用、広告宣伝費に充当する・・・これで損益ゼロである!

プロモート料金というのは私には想像がつきませんが、これは業者の一方的な報酬ではなく、楽団の事務局側の定めた「受付料金」のようなものも含むはず(所属団体不在の間の運営経費をまかなう必要があるでしょうから)です。そうすると、これも、あまり安値は考えにくい。

この2例では、ロサンゼルスフィルがかろうじて間接費を賄えるだけの収益をあげていると思われるということになります。実質上、楽隊が存続していくためには、これでは不充分だ、ということも明確でしょう。

以上から、ベルリンフィルの価格問題に戻ってみますと、・・・実際は100%の入場は見込めるでしょうから、総売上高はもっと上がるのでしょうが・・・いまモデルにしているケースでの31百万円の、いわゆる営業利益では、残りはプロモート料金、広告宣伝費がいくらかかるか、でして、地元ベルリンのホールの維持費・フィルハーモニーの運営費などを積み重ねて、総額ではロサンゼルスフィルの2倍かかるのだとすれば、純利益は1公演につき、せいぜい1千万円、ということになります。来日団員100人として、一人当たり換算額は10万円に過ぎない、ということになります。団員一人一人は、5公演やって、50万円の報酬を得て帰るわけです。・・・コストを過大計上していなければ、儲けはもっと大きくなるのですが。



以上は、くどくなりますけれど、あくまで仮想世界で
「オーケストラが招聘者の最小限の協力のもとに、自前でなんとか損をしないで帰る」
ことを前提に価格の是非をみてきたものです。

現実には、有力な団体が協賛して広告宣伝費分を高い割合で補填してもらえば、その分ラクになる、などということもあり、かつ、有力団体がプロモートにもかんでくれれば、ベルリンフィルの場合、3倍の収益はあげて帰れる。
これは有名団体の方が圧倒的に有利だ、ということは否めません。
ですから、ひとたび有名になってしまえば、それだけ安心できるのですけれど、どんな団体でも、ただ招聘に乗っかって損するわけには行きませんから、本当はこんなモデルよりさらに複雑なやり取りを経て、なるべく儲けて帰れるよう、みんな結構必死になって考えている、ということは窺えるでしょう。

そんな真剣な人たち相手に、長々と数字のお遊びをしてしまったなあ。
申し訳なかったかなあ。

ただ、目の前で演じている人たちの「採算」ということも考えながらコンサートにお出かけになると、また一味違った感触で「演奏」に接することが出来るかもしれません。
・・・その分、「音楽」そのものの楽しみは、減退してしまうかしら。

変なもの綴りました。

こんな数字遊びではなく、19世紀のオペラ運営の経済的な実態、について面白い本がありますので、決してお安くはないですけれど、機会があったらお読みになってみて下さい。

楽隊さんに払っている料金は、徴収である私たちにとっては贅沢な冗費かも知れませんが、高値であるものには高値になるだけのコスト要因がある、ということは、認識を新たにしておいた方が、
「では、音楽がいっときの<流れ(フロー)>ではなく、私たちにとっての貴重な<心の財産>になっていくためには何をしなければならないか」
が、聴衆側にも課せられている問題だ、ということが、すこしはご理解いただけるのではないかと思います。

・・・ブログに載っけるには長すぎちゃったな。・・・いつもか。


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コメント

いつも「つくばコンサート」の活動にご注目下さってありがとうございます。

この話題、コメントできることと出来ないことがあるのですが、まず「つくばコンサート」の場合、企業から協賛金が出ていることが大きなファクターになります。つまりその分は損が出せるということです。まあそれはベルリンフィルでも一緒ですが。

それから、演奏者団体の出演料。実行委員の仲間内でよく言うのですが、「実力と出演料は比例せず、知名度と出演料は必ずしも比例するとは限らない」ということが問題になります。たとえば、人気のある女性演奏家でもお師匠さんが安いギャラでやっているとそれを越えるギャラを要求できないとか、ブーニンとか中村紘子さんみたいに、その金額と会場のキャパから見てどう考えても損になるんだが議会対策などで一度は呼んでおきたいというような人もいたりするわけで。このアーチストは初来日だから今回はお披露目価格で安くしておこう、とか。もういろんな要素が絡み合っていてわけ分かりません。内外価格差の問題もありますし。ウィーンフィルあたりは当地では相当安いはずです。それはおそらく企業協賛金でしょう。

というわけで、もういろんな思惑でもはやブラックボックス、というのがホントのところだと思います。そういうさまざまなファクターがあって、結局東京では値段が高くなる、というのが実情のようです。東京は基礎人口が多いですから、ベルリンフィルならどれだけ高くてもサントリーを満員にするくらいは人が来る訳ですね。一方、昨年のオペラ引っ越し公演あたりだと高すぎてさすがに満席にならなかったようですが。

東京でももっと安く聴ければ一番良いと私は思います。

投稿: キンキン@ダイコク堂 | 2008年6月 4日 (水) 22時12分

キンキンさん、
暇つぶし(というか、仕事にのらないときのお遊び)で綴ったものに、こんなご丁寧にコメントを頂いてしまって、汗顔の至りです。

現実問題として・・・コンサートを運営する団体やホールにはそちらがわの、楽隊は楽隊で楽隊側の年間計画の積み重ねが「黒字」を生み出すので、1回きりのコンサートのためにどれだけかかるか、という試算は、仮にある程度積算単価が正確でも、それだけで採算を見るには無理がありますよね。
かつ、双方(演奏者側と受け入れ側)を並べて一緒に見る。というのも難しいですね。
友人の国内オケの団員(地方の、です)は昇給なしで頑張り続けているし・・・dから国内オケの「儲け」の実態、みたいなものを綴った方がいいのか、とも思ったのですが、ネタとしては考えにくいので、こんなかたちをとってしまいました。
かつ、文中で何度も弁解しているように、数字はテキトーです。
ご容赦下さい!

アフィリに載っけた19世紀のオペラハウスの本は、かなり前に読んだのですが、音楽会が貴族から民間に移った時に直面した「運営」の問題が(断片的ではありますが)比較的経年で窺える、貴重な資料でした。他は教会の歌唱人員やオルガン維持の問題やオーケストラの規模を云々する本でも経済という目で音楽をとらえたものは皆無に等しいですから、頂いたコメントは非常に有り難く拝読しております。

ベルリンのフィルハーモニーの火災だって、修復にどれだけ時間がかかるんでしょう?
そう言う時にお金を出してくれるのは、だいたいみんなボランティアさんでしょう?

私の会社は、私の入社したころに劇団に資金提供していたのですが、組合との問題があったりして打ち切り、ほぼ同時にその劇団がつぶれてしまった、などということもありました。私の周りに残っている(とはいっても、当時の背景まで知っている日とは殆どいなくなってしまいましたが)人は、組合とは逆の立場で事に当たった日とばかりですので、いまでも当時の劇団や組合のあり方に不満を言います。・・・そう言う時代とは、もう代わって来ているのに。。。
文化の維持費、というのは「協調」からしか生み出されないのだ、とは、そんなことから常に感じております。
一方で、アマチュアオーケストラは(数ヶ所渡り歩いただけですが)自費でまかなえばいい、という感覚が強くて、資金努力をしないで、お客が入らなくても別に構わない、みたいな団体も、決して少なくありません。・・・これはこれで、質の向上を求められるわけがない。
音楽を含む演芸(なんて言葉には怒る人もいるかな)と金銭を結びつけるのは、正直なところ本意ではありません。むしろいやなんですが、どこかでいつも頭の片隅に置きながらやって行かないとだめなのかなあ、というのが、昔年の疑問でもありました。

重ねて御礼申し上げます。

投稿: ken | 2008年6月 5日 (木) 06時46分

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