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2008年6月16日 (月)

J.S.Bach:BWV4〜6

Tokiomusikfroh

来たる6月22日は、私共のアマチュアオーケストラ、東京ムジークフローの定期演奏会です。詳しくはバナーをクリック下さい!20名様(ペア換算10組)まで無料ご招待申し上げます。ご希望の方は本ブログのプロフィールページから、記事掲載者宛メール下さい。・・・バナーは、sergejOさんがご好意で作って下さったものです。



本日はカンタータBWV4〜6についての基礎データのみを記します。
アーノンクール/レオンハルトの全集のCD2におさまっている3作品です。
すべて、1724-25年の第2回年間カンタータシリーズの作品です。
「カンタータシリーズ」についての説明は、別の機会に綴ります。
教会暦の知識については、主として八木沢涼子「キリスト教歳時記」(平凡社新書203)のお世話になります。


BWV4 "Christ lag in Todes Banden"
詞:Martin Ruther(1524)
「キリストは死の枷に横たわれり」〜演奏日:1724年4月9日、1725年4月1日(復活祭)
※1725年は、同日に『復活祭オラトリオ』BWV249も演奏されています。「オラトリオ」と言いながら実質的にはカンタータであるこの作品は、同年初めに書かれた祝賀用(ヴァイセンフェルス宮廷向け・・・どういう宮廷だったか?バッハとの関係は1713年に遡る、ザクセン地方の宮廷です。あるじはヴァイマールの縁者であったようです。この宮廷はザクセン=ヴァイセンフェルス公国の拠点であり、教会カンタータは1700年にクリーガーというカペルマイスターがルター派の神学者の詩に曲を付けたことがその起りだとのことです。ちなみに、バッハは1713年も世俗カンタータである「狩猟カンタータ」BWV208を提供しています。)の世俗カンタータ(BWV249a)のパロディ(転用)であり、アーノンクール/レオンハルトの全集(およびカール・リヒターのカンタータ選集)には収録されていません。

さて、復活祭。イースター、ですね。
イースターの日取りは325年の第1回ニケア公会議で「春分の次の満月後の最初の日曜日」と定められました。・・・ということは、春分の日の曜日は年によって違うわけですし、春分の日の次のいつが満月かも、年によって違います。したがって、その満月後の最初の日曜日も年によって違いますから、イースターの日は毎年変わることになります。
さらに厄介なことには、上に定められた日の基準となる「春分の日」は、東方教会では天文学上の春分の日ではなく、325年の春分の日であったユリウス暦の3月21日ということになっています。西方教会も3月21日固定ですが、ユリウス暦の、ではなく、グレゴリウス暦の3月21日としています。(東方教会には、さらに複雑なルールもあります。)
そこで、東方教会と西方教会では、イースターの日取りがずれることになります。
1725年は4月1日が西方教会でのイースターだったのですね。ということは、満月は3月26日から31日の間だったのですね。
さらに、Wikipediaの記事によれば、「イースター」の語源は<ゲルマン神話の春の女神「エオストレ(Eostre)」の名前、あるいはゲルマン人の用いた春の月名「エオストレモナト(Eostremonat)」に由来している>とのことで、元来ゲルマン民族の春祭りであったものが「キリストの復活」を祝うものへと変えられたことがうかがえます。カトリックは、ゲルマン人の教化に当たって、このような祭典の転化を数多く行っていたようで、このことは阿部謹也「ハーメルンの笛吹き男」他の記述からも分かります。
復活祭から7週間は、「復活節」というひとつの季節として位置づけられています。

・・・で、「復活」を祝うその日のカンタータとして、なぜ「キリストは死の枷に横たわれり」なる、しかも嘆きの動機をもってはじるカンタータが演奏されたのか?
このカンタータ、作曲されたのは、じつは1714年より前(1707-8年の可能性大)の作品ですが、もともとイースターのために書かれたカンタータで、1707年のミュールハウゼンでの採用試験で演奏されたものではないかと推測されています(作風はブクステフーデの影響を色濃く受けているそうです)。日本人の常識では「暗いな〜」という開始部を持つのですが、詞の内容は第1曲から第4曲まではイエスの受難の意味を説くものでありながら、第5詞からは民がイースターを心待ちにしていたことを現すものに転じて行くのであり、カンタータ全体を呼ぶのに冒頭の歌詞を用いていることから「なんとなくイースターに似合わない」印象を受けるだけであって、ちゃんと主旨には沿っているわけです。

編成:コルネット、トロンボーン、弦楽器群及び通奏低音
構成:シンフォニア(ラメントの切分動機による)〜合唱〜二重唱(ソプラノ・アルト)
    〜アリア(テノール)〜合唱〜アリア(バス)〜二重唱(ソプラノ・テノール)〜コラール



BWV5 "Wo soll ich fliehen hin"
詞:1,7曲Johann Heermann(1630)、他は不詳
「我いずこに逃れ行かん」〜演奏日:1724年10月15日(三位一体祭後の第19日曜日)

三位一体祭(三位一体の主日)については、BWV2を参照下さい。・・・それにしても、この年の三位一体の主日は6月4日だったのですから・・・ずいぶん先まで、それにまつわるカンタータが演奏されたものですねえ。・・・じつのところ、クリスマスの前まで、特別な祭日でなければ「三位一体の主日」を基準としたカンタータが、毎日曜日に演奏されたのです。それだけ、「三位一体」というのが、ルター派にとってもカトリック同様最重要なこととして考えられていたのでしょうね。

編成:オーボエ2、弦楽器群及び通奏低音
構成:合唱〜コラール〜〜アリア(バス)〜レシタティーヴォ(テノール)
    〜アリア(二重唱:ソプラノ&アルト)〜コラール



BWV6 "bleib bei uns, denn es will Abend werden"
詞:1=ルカ伝24-29 2,4,5=不詳、3=Nikolaus Hermann/Nikolaus Selnecker、6=Martin Luther(1542)
「我等のもとにとどまり給え、はや夕べとなれば」〜演奏日:1725年4月2日(復活祭第2日)

復活祭については前記BWV4を参照下さい。

ルカ伝24章29
「私たちのところにお泊りなさい、まもなく夕方で、日も傾いたから。」(塚本虎二訳、岩波文庫)

編成:オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦楽器群及び通奏低音
構成:合唱〜アリア(アルト)〜コラール(ソプラノ)〜レシタティーヴォ(バス)
    〜アリア(テノール)〜コラール



CD、歌詞関連については、sergejOさんのこちらにリンクした頁をご覧下さい。
日本語訳の書籍は高価ですが、sergejOさんの紹介している頁からですと、原語・英訳等で歌詞が参照出来る上に、作品を巡る論考を読むこともできます。

その他CD検索はしたのバナーをクリックしてみて下さい。(今日、シュッツ作品を探すのに利用させて頂きましたが、便利でしたヨ!)
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キリスト教歳時記―知っておきたい教会の文化 (平凡社新書)

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