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2008年5月27日 (火)

音楽と話す:楽譜って、どんな姿?(3)

ラ・プティット・バンド at つくば(6月1日)、是非お出掛けになってみて下さい!(リンクしてあります。)



「・・・」

このあいだ見せられた、線だらけの楽譜を前に、私がずっと首をひねりっぱなしでいると、

「なにを、いつまで困っていらっしゃるの?」
と、<楽譜>さん。
「だって、ちっとも浮かんでこないからですよ」
「何が?」
「・・・歌が。」

「だって、全部書いてあるじゃないですか?」
「でも、線ばっかりだから、どう歌っていいのか分かりませんよ」
「何故? 線の上がり下がりの通りに歌ってみればよろしいんじゃないの?」」
「そう仰いますけど、だいいち、どんな高さの音から歌いだして、どれだけの長さを伸ばして、次にどんな音の高さに移ればいいのか、さっぱり見当がつきませんよ」
「テキトーでよろしいじゃないですか」
「・・・は?」

「好きな高さの音から歌い始めて、線が長く見えたら、この線の長さは時間ではこれくらいかなあ、ってくらいお好みで伸ばして、線が下に下がったら、これくらい下がるのかなあ、上がったら、これくらい上がったのかなあ・・・で、全然構わないんじゃありません?」」
「それで、ちゃんとした歌になるんでしょうか? デタラメもいいとこになるんじゃないです?」
「しかたがないわねえ!」

<楽譜>さんは、大きく溜息をつきました。

「ホント、仕方ないのかもね。もともと、私が字とか線とかで書かれるようになったのは、あなたがた人間が、<音楽>さんをかたちにしなければ気がすまなかったからですものねえ」
「かたちになっていなくっちゃ、分からないじゃないですか」
「だから、いつまでたっても、<音楽>そのものにたどり着ける人間なんて、殆ど現れないんだわ!」
「そりゃ、私に限ればそうかもしれませんけど、優秀な音楽家は、昔っからいっぱいいるじゃないですか」
「どれくらい昔から?」

<楽譜>さんは、イタズラっぽい、いや、皮肉っぽい薄笑いを浮かべて私を見つめました。

「それは・・・そうですねえ・・・ベートーヴェン、ハイドン、モーツァルト・・・いや、まだ新しい方か。バッハのオヤジさん。もっと遡って、モンテヴェルディ。・・・いやいや、13世紀まで遡ればペロティヌスとか、その先輩のレオニヌスとか。」
「まあ、ヨーロッパのかたばっかり!しかもせいぜい700年前まで。」
「いや、私が知らないだけですよ。名前が忘れられた中に、アジアにでもアフリカにでもオセアニアでも、たくさん、すばらしい音楽家がいたはずです。」
「忘れられたかたたちのほうが、大事かもね」
「・・・そうなんですか?」
「だって、そういう皆さんは、書かれた楽譜なんていらなかったんですもの」

そう言われてしまっては、私にはもうどうしようもありません。

「それなら、これでいかが?」
<楽譜>さんは、なにやらまた、数枚の紙を出しました。
「あなたがお望みなのは、こんな類いのものでしょう?」

古ネウマと併記されたグレゴリオ聖歌の4線譜
Avemaria

定量音符の譜例
Teiryoukyrie

「こういう楽譜はね、あなたみたいに、<どんな高さから>・<どれくらいの時間伸ばして>・<次はどの高さへ移るのか>を、数学のグラフみたいにして描いたものよ」

「ほう。最初のは、線で結ばれている難しいところは分かりませんけど・・・」

「そういうのはまたテキトーにお勉強なさってくださいまし。二つだけお話しておきますとね、線の左端にCのマークがついているところが、<C>の高さの音になるの。日本人風に申し上げますと、<ド>の音ですわね」
「じゃあ、そこを目印に、音の高さに見当をつければいいんですね」
「手っ取り早く申し上げれば、そういうことになりますわね。・・・もう一つ、線の上に書かれた黒の四角が<音符>というもので、これの場所が音の高さを表しているの」

「これで完璧・・・じゃないな、長さが分かりません」
「長さはね、例えば<あいうえお>の<あ>ひとつを少しゆっくり目に声に出すときの長さが基本だと思っておけばよろしいかも知れませんわ。ただし、黒四角(音符、ですわね)の右に点が付いているのは、それより長く伸ばすの」
「どれくらい長くするんですか?」
「そんなの、決まってなんかいませんわ」
「じゃあ、困っちゃうじゃないですか」
「もう、あなたみたいな人がいるから、2つ目の紙みたいな書き方が出来たのよ。まず、それはいいということにして、右に点の付いた音符の長さは、雰囲気で、テキトーに伸ばせばいいのですわよ」
「また、テキトーですか!」
「気分、気分。・・・<音楽>の基本は、<気分、気分>」
「そんな、いい加減な・・・」
「いい加減かどうかは、実際にお歌いになって、試してご覧になるといいわ」

・・・これは、このときすぐ試したら短めにしか伸ばせなかったのですが、後でゆったり風呂に入りながら試したら、<楽譜>さんのまえでやったときより長くなりました。。。やっぱり、気分、気分なのかなあ。

「でも、どうしても<気分、気分>が嫌な人たちがいて、長さをきっちり決めたくなっちゃったの。それで、2番目みたいな、菱形やら長方形やらが混じったものが出来たんですわ」
「そりゃ、きっちり長さが決まっていないと、一人ならともかく、何人もで音楽を楽しみたいときには困るでしょう」
「多分、これを考えた人たちも、あなたと同じような発想でいらしたのよ。私にしてみたら、ばかばかしいったりゃありゃしなかったんですけれどもね。仕方がないから、妥協して差し上げた、という次第。」
「ああ、でも、今見ただけじゃあ良くわかんないけど、決まり事さえ覚えれば、ずっとすっきり分かりそう!」
「(そんなにあまかあないのよ!)・・・まあ、そうお思いになるんでしたら、せいぜい、一生懸命お勉強なさって!」


グレゴリオ聖歌のほうの4線譜の読み方については、前に別記事で綴りました

定量音符記譜法については、事典に記載された図版を、参考までに掲載しておきます。

Teiryou

どうでしょう、これで上の図の例が読み解けますか?(この表だけでは足りないのですが、あとは推定で可能です。ちなみに、上の図では「C」記号(ハ音記号)は装飾的になっています。五つある線の、したから2番目の線に付いています。余計なことを付け加えますと、この装飾がこんにちのハ音記号の原型で、いまも手書き譜を作る場合にはこれと似たように書く場合があります。印刷譜でも、フランス製の楽譜でしたら、上図に似ています。)


駄目押しで<楽譜>さんに言われました。
「申し上げておきますけれど、Cがかかれた場所が<ド>、だって、さっき申し上げましたけれどね、この<ド>の高さは、別にテキトーに決めてよろしいんですのよ。」
「???」
どういうこと?

ま、次回への宿題にしましょう!

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