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2008年4月12日 (土)

のらねこ。

また、音楽に関係ない話です。

昨日から子供たちと約束していたので、きょうはクルマで近所の県営公園まで行き、貸し自転車を借りてサイクリングをしてきました。
たくさんあっただろう桜の花はとっくに散って、入れ替わりに緑がさまざまな濃さやかたちで私たちの周りをつつんでいました。

帰りに、娘の学校用の本を探すために、駅前の本屋さんへ行きました。

その本屋さんで、息子が覗き見していたのが、「のらねこ。」でした。

のらねこ。〜ちいさな命の物語〜


息子には、小学校時代を通じてずっと、そしていまでも、仲良しの野良猫がいます。
マンションの管理組合にとっては、それが増えることにも、衛生上の扱いにも困りものの野良猫たちですが、たくましく生きている連中です。
息子の仲良しは、目が悪い猫です。
家族で出掛けるとき、いつもその猫が息子の側に寄ってくるので、息子と猫の仲は父母も姉も知るところとなりました。
家族で話し合って、息子の仲良し猫を、我が家では「コウジロウ」という名前で呼ぶことに決めました。
息子だけでなく、娘も、母親つまり私の家内も、私も、「コウジロウ」に出会うたびに、
「コウジロウ、いま、なにしてるの?」
と話しかけるのが習慣になりました。

そのうち、コウジロウは、お父さん=私が帰宅するとき、たまたまエレベーターの前で会ったときは、私と一緒にエレベーターに乗って、我が家の玄関まで一緒に来るようになりました。
「かわいそうだけど、マンションの決まりで、食べ物はあげられないんだ。ゴメンね」
そう話して聞かせても、家族が入れ替わりで頭や背中を撫でてやると、それだけで嬉しそうにして、満足するまで家の前から立ち去りませんでした。

そういうことが、何年続いたでしょう・・・何年間だったかは、忘れてしまいました。

家内が死んだ日の朝、雨の激しい中、私と子供たちは、家内の枕頭におかなければならないものの買い物に出ました。
帰宅したら、留守番をしていた親族に
「さっき、野良猫が入ってきたから、慌てて追い出したよ」

報告されました。
「あ。コウジロウだ」
私も子供たちも、とっさに、そう思いました。
家の中に入れたことはありません。
家内が死んだことを、何かの勘で分かって、訪ねて来てくれたのではなかったのかと思います。

その日以来、コウジロウは、我が家を訪ねてくることはなくなりました。
時々出会うことがあっても、それがエレベーターの前の私であっても、もう、ついてくることがなくなりました。

息子がこの本をみつけてきたとき、そんな思い出から、つい、買ってやってしまいました。

それだけのお話です。

どうも、失礼しました。

のらねこ。 -ちいさな命の物語-Bookのらねこ。 -ちいさな命の物語-


著者:中川 こうじ

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コメント

いいお話ですねぇ・・。何も言えなくて、涙がこぼれました。

投稿: さざ波moo | 2008年4月13日 (日) 07時17分

mooさん、ありがとうございます。家族みんなの、いちばん身近な「思い出」になってしまいました。

投稿: ken | 2008年4月13日 (日) 18時56分

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