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2008年3月13日 (木)

娘、幼年期ト唐突ニ訣別ス

今日、毎週のように娘がピアノのレッスンに行くと、先生が
「あんまり急な話で申し訳ないのだけれど」
と娘に向かって仰るので、何かと思ったら
「3月で音楽教室を退職することになったの」

脇から私が尋ねました。
「それって、もしかして、おめでたいことですね?」
「結婚することになったんです。で、新居が、ここまで通える場所ではないので・・・」
「寂しくなるけど、でも、いいことですから。よかったですねえ」
「・・・はい。」

娘が幼稚園のときから教わっていた、女の先生でした。
娘は小学生までは全然まともな生徒ではなくて、ピアノはちっとも練習して行かない。
それでも、練習の前の日になると、何かごそごそやっている。
「何してるの」
ときくと、
「あした、先生に上げるプレゼント作ってるの」
色紙を切って貼り絵にしたり、お金に見立てたものを使ったままごと道具を作ったり。
そんな娘を、母親が迎えに行くまで、ピアノの練習なんか身が入らない時には、まっとうにままごとで相手をしてくれる先生でした。

帰り道、娘は、私の運転する車の中で、声を殺して泣きました。

明日の、学校を卒業しての担任や友だちとの別れは、普通のことだから、まだ気持ちは大丈夫なのです。
でも、音楽教室の方は、先生が教室を去ることで、娘にとって遠くへ去ってしまうものは、「先生」という人ひとりではないのです。

自分では殆ど中身は覚えていないのでしょうけれど、先生と幼稚園時代から11年過ごして来たことは、それを送り迎えした母の思い出とも、先生を通じて今度の志望校合格までなんとか繋いで来た、母と一緒に見て来た夢とも、切り離せないのです。
それがまたたく間に、異次元の世界へ去って行ってしまう。
・・・幼かった自分を、まずは第一に理解してくれていた母親が、永久に去って行って。
・・・母と誓い合った「夢」に、それでもしっかりしがみついて。
・・・「夢」にしがみつくには、やっぱり幼い頃からの自分をよく知ってくれていた先生の存在は、はっきり言葉で私に聞かせてくれたことは無かったけれど、娘には相当大きなものだったのではないかな。。。

けれど、母と見て来た「夢」は、娘は自分の努力で達成したのです。

私自身は同じ年頃には、まだこれほど厳しい「訣別」を経験していませんでした。
だから、娘がかわいそうだ、と思うことは、簡単でしたし、実際に、こちらまで涙が出かかりました。

「待てよ」
と、私は私に言い聞かせました。

「これできっと、娘は私なんかのような弱いやつには絶対ならない保証を、神様から頂いたようなもんだ」

元気出せ、と声をかけつつ帰ってきましたが、そのあと、息子を柔道に迎えに行って戻った時には、娘はしっかり立ち直っていました。

そんな娘を、私は誇りに思います。
・・・たとえどんなに、出来がわるくたって、これだけタフでいてくれるだけで、私は娘と言う虎の威を借りた狐でいられますから。。。

誰ですか、
「狐じゃないだろ」
なんて茶々を入れるのは!
・・・私は決して、ブタではありません!

(Vn.五嶋みどり)

幼児期という「薄明」を一気に通り過ぎて、この「朝の歌」のように、娘が明るい朝日を浴びて、伸び伸びと育って行ってくれることを、確信しています。

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コメント

私もエレクトーンを習っていた時、まったく練習せずにレッスンに行っていました。その時の先生も、同じように怒らずに接してくれました。そして、同じように結婚するのに辞めてしまいました。小学校の低学年くらいのときでした。そしてそして、同じように幼稚園の時から教わっていた先生でした。
でもそのあと、私が中一で辞めるまで教えてもらった先生も良い先生でした。だから、ふだんのおこないのいいトロンボーン奏者さんなら、きっといい先生がついてくれますよ!!!

投稿: コントラバスLOVE | 2008年3月14日 (金) 19時56分

ありがとうございました。
仰って下さった通りだ、と信じています。

ただし、
>ふだんのおこないのいいトロンボーン奏者さん

???

私は、虐待されています (T_T)

・・・これからも、末永く仲良くしてやって下さいね!

投稿: ken | 2008年3月14日 (金) 23時46分

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