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2008年2月25日 (月)

「イゾルデさん」は痩せられない?

映画「トリスタンとイゾルデ」にすっかり魅せられてしまったTさん、モノはついで、ということで、ワーグナーの楽劇の方をも見て・・・イゾルデさんが、あまりにも貫禄がありすぎて・・・戸惑ってしまったそうです。
「ああ、僕はオペラ鑑賞には向かない!」
・・・Tさん、そんなことで失望して死んではいけません!・・・あ、大丈夫ですね。。。

私自身、「トリスタンとイゾルデ」は、特に第2幕の音楽が大変美しく、大好きな作品なのですが・・・楽劇のDVDは何度も「買おうかなあ」とは思って、そのたびジャケットの写真を見て、「うーん、イゾルデさん、太りすぎ。僕とダイエットしましょう!」と言いたくなってしまう。でも、私がいくら頑張って、仮にダイエットで成果を上げても、映像の中のイゾルデさんは永久に付き合ってくれないんですよね。付き合ってもらえないのが最初から分かっているなら、映像の中のイゾルデさんは映像の中のトリスタン君と宜しくやっていてくだされば結構。ということで、とうとう買わずじまい。実演を目にするチャンスも無いので、CDだけで聴いています。

もとはといえば、しかし、イゾルデさんが痩せられないのは、ワーグナーが悪いのに違いない。
私はそう確信もしております。

だって、命を失うその間際に、あんなに声量も体力も必要な歌を歌わせるんですもの!
「愛の死」は、すばらしい愛の賛歌ではあるかもしれないけれど、言葉だけだから、まだ密度が濃くても許せる。ナマの歌にしてしまうには、あまりに濃くて、歌い手さんには酷です。

オペラで仰天した別の例では、チレアの「アドリアーナ・ルクブルール」がありまして、記憶ではこの作品、美しい歌手アドリアーナが、最後は結核でやせ細って死ぬはずなのですけれど、イタリアオペラを日本が招聘したときに演じられたそれでは、とても恰幅のいいかたがタイトルロールを演じていらして、臨終の場面の声のか細さ(かなりの高音で、歌うのは難しい)は、それこそ目をふさいで聴いていたら見事すぎるほどだったのですけれど・・・素直な子供だったんで、
「え? この人、ほんとに死ぬの? こんなにたっぷり食べてそうな人が、結核で!」
まじまじと画面に見入ってしまったのでした。



歌い手さんだけでなくて、楽器弾きでも、体格がいいと、肉体が大変良い共鳴体になるそうで、演奏家が太るのは悪いことではないんだそうです。
で、学生時代、オーケストラの先輩連中と一緒に師匠の家に集められると、
「体を作れ! 太らにゃいかんぞ!」
というので、大鍋に肉野菜をどっさり入れたのを競争で食べさせられました。
オーケストラ団員養成所のはずだったのですが・・・相撲部屋と、どこが違ったんだろう?

そこでは「食べる」競争に常に敗北していたはずの私が、あとになってみると、いちばんデブなんです。
これもまた、妙な感じです。

確かに言えるのは、楽器がきちんと振動していると、弾いて(吹いて)いて、楽器の振動は確かに素直に、この体に伝わってきます。体が楽器の振動を感じないときは、きちんと演奏できていない、ということは、断言できると思います。

・・・ではありますが。

体の太さと「振動をちゃんと感じ、より広げるための演奏が出来る」ということに、直接の関係があるのかどうか、は、おそらく誰もちゃんと計測したことは無かろうと思います。

ですので、

・デブ=いい音(声)がする

という等式が成り立つかどうか。学生のとき、鍋を食う前にちゃんと計測器を持ち込んで、データをとって置けばよかった。

こういうのを、「後の祭」と申します、ハイ。

最近では、オペラも「見てくれ」を重視して、あまりに太りすぎだとタイトルロールには採用してもらえない、という、デブ受難の時代でもあるようです。

ワーグナーついでで全然関係ない話を思い出しました。

「神々のたそがれ」の終幕間際で、ブリュンヒルデが、ジークフリートの遺体が焼かれる火の中に飛び込みますね(岩波文庫収録の、おそらく原型であろう「ニーベルンゲンの歌」にはこのような設定はありませんが)。
これは、どうも、アーリア系の古代には普遍的な風習だったようです。
「どうせ神話の中だけの話だろう!」
とたかを括っていたら、インド音楽を調べている最中、「ムガル帝国誌」を読んで、仰天しました。
死んだ夫を焼く火に妻が飛び込むのは、ヒンドゥー教の美徳として、17世紀にはなお、生きた風習として残っていたのでした。

残酷ですが・・・「ムガル帝国誌」の著者ベルニエは、結婚年齢の若かったであろう当時、12歳くらいの幼な妻が無理やり火に投じられる場面を目撃してもいます。

じゃあ、妻に先立たれた夫の方は、というと、そういうことをした形跡はありません。

・・・そんなもんなんですかね。。。
・・・男の身ながら、なんか、割り切れないなあ。。。

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