« 音楽と話す:まず「聴く」 | トップページ | ご報告:娘の高校合格 »

2008年2月12日 (火)

音楽と話す:「想う」心

    誰がおまえを捨てたりしようか、おお、酒よ?
    あるいは私は占い師に従ったのか?
    それとも 心の不安にかられながら、
    血を流す思いで葡萄酒を流したか?

    ----ポール・ヴァレリー、安藤元雄 訳----



くだらんことを、いつでも何も気にせず胸を開いて話せる相手も、今は失いましたので。
前にも綴ったとおり、話すことなんて、ホントは日常の些細なことでいいんですけれど。些事は、いくらブログでくだを巻きまくっても、詮無いことです。
で、ま、そうは言っても、これも些事なのですが、音楽さんとの昨日の会話が不十分でしたので、すこし補足の説明をお願いすることにしました。・・・でも、私の話し方がいけないのでしょうか? テキはなかなかに気難しいのです。ですので、先に謝っておきますが、今日の会話も「訳が分からん」かもしれません。


心を急にわしづかみにしたものを、まず大切に聴く、ってお言葉でしたけど」
「まあ、そんなもんじゃったかな」
「大切に、って、具体的にはどうすればいいんですか?」
「いや、大切に、って、そのまんまじゃが・・・」

「それが難しいんですよ。ウチのカカアを例えに出しますとね、普段、私は<大切に>されたことなんか、おれっぽっちもありませんよ。洗濯物干すのを手伝おうと思ったって,『ああ、あんたの畳みかたじゃダメだから、手えださないで、って怒られる。食器洗いしようとすると、『あたしがやるからいいよ、ありがとね』って言うから、そんじゃあ任そうか、ってのんびり構えてると、『なにボーっとしてんのよ、食器ぐらい洗っといてよ、ボケナス!』『だって、お前さっき、自分がやるからいい、って言ったじゃないか』『そのあと、こっちが様子が変わって手一杯になってんの、見てたら分かるじゃないか! 気いきかすんだよ、こういうときゃ!』なんて具合でしてね」

「あんたが<大切にされる>かどうかの話じゃねえでしょうが」
「・・・しまった! つい、われを忘れました」

「<好き>になる、ってことの入り口でおっかねえところは、それが熱狂的であればあるほど、じつはどんどん、<好き>な相手を大切にする想いから遠ざかることんなんじゃ」
「・・・はあ。」
「熱くなるほど、大切なのは、相手じゃなくて、自分のほうになっていく」
「・・・むむう。」
「あっしなんか、それでこれまで何百回、何万回、何億回、<所詮、こんなもんさ>って感じさせられたことか」

「だって、熱狂の音楽、っていうのだって、いっぱいあるじゃないですか」
「あっしが描いている世界が、熱かったり、狂っていたり、燃えて灰になってたり・・・確かにいろいろありはする。でも、だからって、あっしが世界を描いて見せた後で、それにただ<かっこいい!>とか<一緒に燃えた!>なんて拍手してくるお客は、あっしは疑ってかかるんでさあ」
「それって、さびしくありません? あなたが、そんな猜疑心の塊だなんて・・・」
「ああ、さびしゅうござんすなあ。でも、いたしかたござんせん」

「好きになって欲しくないんですか?」
「そんなわけないじゃろ。じゃが、どうせだったら、ほんとの意味で好きになってくれるお客にめぐり逢いたいんじゃ」
「っていいますと?」
どんな世界をあっしが描いたんだとしても、それは、世界の鏡でしかない、ってことを分かってくれるような」
「またすぐ、わけ分からないこと言い出すんだから!」
あっしという鏡で、あんたが、あんたを映してみてくれるんじゃったら、あっしもあんたを好きになってやりますよ」
「あ、音楽さん、どこ行っちゃうんですか?」
「あんたの頭が少し醒めて、あっしの言ってる事のカケラだけでも分かって、感じておくれなさるまで、ちとそのへんをふらついて来ますわイな」



・・・さて、私は、どうアタマを冷やしたらいいんでしょうか?
・・・簡単さア!
・・・自分が、過去どれだけ「好き」の押し売りをして、うんざりされたり、無視されたりしたかを、「自分の」ではなくて、相手の「想い」から見つめなおせるようにすれば・・・

・・・簡単、じゃないなあ。

さりげなく見つめ、さりげなく笑顔をかわせていれば、本当はそれだけで幸せ、というのが、もしかしたら、本当に大切な、相手を「想う」心、なのかしら。

(でも・・・それは神様が僕からは永遠に奪ってしまったもの・・・)<---詩人の遠い目!



ここで、ひょい、と音楽さんが戻ってきました。
「忘れとったわい! これ、聴いといておくんなさい!」

音が、ふたつ。

「どっちが少しはあっしの気に入っているか、また来るまで当てといておくんなせえ! まあ、あんまり違いが分かんねえかも知んねえけど」

当てといて、って・・・え? これ、どう言う謎掛けなんでしょう?

困った相手だなあ・・・

そうか、もう君はいないのかBookそうか、もう君はいないのか


著者:城山三郎

販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


|

« 音楽と話す:まず「聴く」 | トップページ | ご報告:娘の高校合格 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95716/10461773

この記事へのトラックバック一覧です: 音楽と話す:「想う」心:

« 音楽と話す:まず「聴く」 | トップページ | ご報告:娘の高校合格 »