« モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲(2〜5番) | トップページ | 小6息子作:隆盛新聞 »

2007年10月13日 (土)

ドヴォルジャーク「交響曲第8番」第2楽章(1)

本日の記事をお読みになる前に、是非、
「うらやましいなあ、行ける人。(上岡/ヴッパータール)」
にお目通し下さい!
イチオシ! 絶対お勧めのライヴです!
14日当日でも、間に合います!
かつてクララ・シューマンとも共演したという、伝統ある名門オケです!


ドヴォルジャーク:交響曲第8番

全体像
・第1楽章:構成について練習上の留意点について

記して参りました。
また、アーノンクールの述べている、作品理解のうえでの示唆も引用しました。
(リンク先をご覧下さい。)

今回は、第2楽章の構成について述べます。
練習で留意すべき点は別の回と致します。
(使用スコアは、音楽之友社OGT238です。)

この楽章については、解説では「交響詩的な創作手法」がとられていると述べています。
では、交響詩的手法とはなんでしょうか?
ドボルジャークは、本当に、「交響詩的な創作手法」なるものを使っているのでしょうか?

一般に、交響詩は、核となる人物または理念を定型的に動機化し、それを既存の音楽の構成の枠に当てはめず、作曲者が独自に組み上げた「ストーリー」の中で発展的に取り扱っていくものです。
ただし、「ストーリー」には「ストーリー」の定型、とでも呼ぶべきものがあり、結果的には、あまり大規模ではない交響詩は、完全な自由形式であるよりは、既存の二部形式、三部形式、ソナタ形式のようにまとまってしまう場合も皆無ではありません。

リヒャルト・シュトラウスの小規模な方の作例で言うと、「ドン・ファン」はロンド・ソナタ形式に近いものがあります。ただし、それにしては、完全な「再現部」というものは存在しません。また、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、短いが故に、序奏部-呈示部-展開1-展開2----という具合に接続していくことが分かりやすい。でも、既存の音楽形式には当てはめられません。最終部は、序奏部を回想する短い節ではありますが、決して「再現部」ではありません。

これと比較した場合、ドヴォルジャーク第8の第2楽章は、果たして、そこまで自由な形式をとっているでしょうか?

結論を申し上げれば、「ノー」です。

大枠で捉えれば・・・既存の形式とは呼べるものではありませんが、「ソナタ形式に類似した四部形式」とでも言うべきものです。
但し、最終部は「第2部」をほぼ忠実に再現したものにコーダを付けて成り立っており(「再現部」に相当する)、第3部は「展開部」であって第1部の再現部ではないのが特徴です。
この点に留意しておかないと、曲の統一感を見失うことになります。「解説」は、そうした見失いをしているのではないかなあ、と感じております。

・「第1部」は、さらに3つの部分から成っています。
 (1)1〜10小節:宗教的とも言える序奏部で、和声が重要です。
    (練習上の留意点で述べます。)
 (2)11〜31小節:膝をついて祈る人に、木の上から鳥が「外を見てごらん!」と。
    フルート・オーボエのペアの呼びかけにに対し、
    クラリネットが徐々に視線を向け、見上げていく状況がポイントです。
 (3)32〜45小節:見上げた外は、予想に反し、ただ底抜けに明るいものではない。
    それが、のどかだった動機が激しい表情に転じることで示されます。
    人は、自分の内面だけではない、外界もまた「敬虔であるべき」ことを悟ります。

以下、そんな風なストーリーを、ご自身なりに持ってみて下さい。ここまで記したことで充分にイメージできるはずですし、それをご自身の中に組み立てておくことが、聴くだけの場合でも、第2楽章の理解に役立つものと思います。

・「第2部」は5つの部分を持っています。
 (1)46〜56小節:時が踊っているような印象の部分
 (2)57〜64小節:ヴァイオリンソロがゆったりと踊る(ワシには踊れん!)
 (3)65〜80小節:群舞
 (4)81〜88小節:舞いの興奮から、再び静謐へと、人びとは黙想する
 (5)89〜100小節:敬虔な祈りの反復

・「第3部」は「展開部」にも相当します。まとまりとしては、101〜132小節のひとかたまりしか持ちませんので、当時の大きな交響曲から見れば、展開部とは見えづらい。ですが、新しい要素(動機)を用いるのではなく、第1主題の動機を主体としています。その点、第1楽章の「展開部」と「再現部」の関係を、「第4部」との間に持っており、ドヴォルジャークの作曲姿勢に一貫性があることも確認出来ます。

・「第4部」は
 (1)第2部(第2主題)の(短めの)再現
 (2)複構造の長いコーダ
 からなりたっています。
 (1)は、133〜148小節を再現部とし、
    149〜155小節を、その延長としての小結尾(コデッタ)としています。
 (2)155小節から170小節までが、正式なコーダです。

以上、スコア無しではお分かりになりにくいかもしれません。補筆時間が取りたいところですが、とりあえずご容赦下さい。

|

« モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲(2〜5番) | トップページ | 小6息子作:隆盛新聞 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95716/8393866

この記事へのトラックバック一覧です: ドヴォルジャーク「交響曲第8番」第2楽章(1):

« モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲(2〜5番) | トップページ | 小6息子作:隆盛新聞 »