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2007年10月16日 (火)

ドヴォルジャーク「交響曲第8番」第2楽章(2)

記事本文の前に・・・
上岡敏之/ヴッパータール交響楽団、大変によい演奏会でした。お読み頂ければ幸いです。



ドヴォルジャーク:交響曲第8番

全体像
・第1楽章:構成について練習上の留意点について
・第2楽章の構成について
記して参りました。
また、アーノンクールの述べている、作品理解のうえでの示唆も引用しました。
(リンク先をご覧下さい。)

今回は、第2楽章の練習で留意すべき点ついて述べます。
(使用スコアは、音楽之友社OGT238です。)

01*6小節目の内声部(2nd,Vla)、とくにセカンドヴァイオリンの音程が重要です。これは、ネックの上に垂直に指が立つほどに左肘を体の中心まで引いて、楽器に体重を良く乗せて下さい。練習の初期に試してみて頂いた通りです。もう少し詳しく言えば、セカンドの音は一瞬だけ調が変ホから変ニ長調に転調(正しくは変ロ短調なのですが)したとき、その(長調ベースでの)主音に当たる音であるため、核を作るのです。なお、同じ変ニ音はヴィオラ、チェロ、コントラバスによっても強調されています。ところが、ここでセカンドヴァイオリンがしばしば音程が崩れるため、台無しになるケースを、何度も耳にした経験があります。是非ご留意下さい。(ある意味で楽章全体の出来を決めます。)

02*10小節目のホルンの入りは、本来、ボケるとまずいのです。が、音域が音域ですので、ティンパニがくっきり入ってやって下さい。ホルンはティンパニの入りに上手く助けてもらい、音が震えず直線になるように留意して下さい。・・・ただし、ディナミークはppです。ティンパニはpppですが、叩き始めをホルンより強めに、けれどアクセントには聞こえないように、ご工夫下さい。難所です。

03*「A」からは、クラリネットとファゴットは音色を統一して下さい。膨らましのタイミングもぴったり揃えるべきでしょう。また、18小節からは音色を徐々に明るく変化させていくことになりますので、留意して下さい。

04*21小節最後のホルンの16分音符にはスタカートが付いていますが、弦はテヌートです。従って、ホルンのスタカートは「pesante」の効果を狙ったものです。先生の解釈にもよりますが、練習では「押す感じ」の発音を心がけておくべきでしょう。ブルックナーをイメージすると分かりやすいかと思います。

05*「B」の木管は、28小節までの薄暗いクラリネットに対して不安を表明したヴァイオリンに対し、「カツ」を入れる役割を担う経過句です。スタカートのイメージは(こちらは弦楽器を伴っていませんが)04のホルンのニュアンスを記憶しておき、それを更に厳しく明瞭に吹くべきでしょう。

06*37小節からは、「カツ」によって目を開かれた弦に対して「どうだい? 新鮮な静けさが、ここにあるだろう」(こう綴ってしまうと解釈になってしまうので、本当はいけないのですが)と、彼らの目を優しく広げてやる場面となります。これなくして「C」の軽妙さは導き出せませんから、表情を上手く切り替えることは大変重要です。かつ、フルートとオーボエで一つの楽器であり、クラリネットはそれに調和した音色でなければなりません。ですから、可能な限り広いアンブシュアをとる必要があります。

07*「C」からは、ヴィオラとチェロのピチカートは、音程がボケないよう強めにはじいて良いと思います。タイミングはコントラバスと良くアンサンブルして下さい。2つのヴァイオリンもアインザッツ(音の入り)と各音のタイミングを、あたかも一人で引いているように揃えることが望ましい箇所です。弾き方は最終的には先生の指示に従って下さい。練習では、粒が揃えにくければ、まずは「跳弓」で、揃うようにして置いて下さい。先生は最後は「跳ばさないスタカートで」と仰るかもしれません。

08*「D」の管楽器は、07でのヴァイオリンがヘタクソだったら、そのまんまのニュアンスでやって下さい。・・・ソロが下手でも構わなくなるので、非常に助かります! まんざら冗談でもないのですが・・・本来は、「時計のように」機械的であることが望ましいはずです。先生は「拍子のアクセントを意識して」と仰るかもしれませんし、そう仕上げなければなりませんが、仕上げに至るためには、どの音も同じ音量と長さで吹けるようにしておくことが大切です。セカンドクラリネットは付点四分音符のあとにブレスをとってしまって、16部休符の仲間入りをしてごまかしてしまうのが無難かな? 先生にバレたら、また別の道を考えて下さい。

09*同じく「D」のセカンドヴァイオリンは、楽譜通りに数を弾けることが原則です。ご無理な方は、拍の変わり目を(八分音符単位で)きちんと変わって下さい。ずれないように気をつけて。ヴィオラのピチカートはアルペジオになっていますが、一本指で一気に弾けば、ソロにとてテャありがたいスピード感になります。(先生が「ダメ」と仰ったら諦めますが。)

10*65小節から「群舞」になりますが、「C」以降の要素のディナミークがフォルテになるだけですから、ニュアンスが変わらないように注意して下さい。その上で、「表情を変えるんだ!」という支持があれば、奏法は変えず、表情だけ変える「お芝居」をするのです。忘れないで。

11*69小節からのティンパニ、3連符が正しく3連符になっていること。従って、休符を正確にカウントして下さい。

12*「E」のホルンとトランペットは、絶対に力まないで下さいね! 朗々と。とくにトランペットは2オクターヴ吹かなくてはなりませんから、音が上昇するに従って輝かしくなっていく、ということは上野音程ほどアパチュアが狭まらないよう留意しておく心の準備が必要だ、ということです。なお、ホルンがⅠオクターヴ吹いた続きを75小節目で引き継ぐのがオーボエです。ですので、オーボエの音色は(無理難題に思われるか知れませんが)ホルンの音色でなければなりません。これは古典派(モーツァルトかハイドンでいいでしょう)のシンフォニーの事例でよくご研究頂くことをお勧めします。

13*78小節、80小節のトランペットのファンファーレは、フィナーレとの結びつきも強いもので、単なる効果以上に重要な意味を持っています。「大切に」吹くにはどうしたらいいか・・・ご熟考をお願い致します。

14*「F」4小節目(84小節)のセカンドヴァイオリンとチェロの音程は、とりわけ重要です。セカンドは半音下降は指を滑らせたりズラしたりしてとってはいけません。1音1音、別の指でとって下さい。85小節後半のチェロのトリルは、(低い音ですが、それでも)鳥のさえずりのサイクルが必要です。

15*86小節からのティンパニ、休符を正しくカウントして下さい。息を正しいリズムに保って叩くことが重要です。

16*105小節のフルート、オーボエは、4本で一つの楽器です。(これ以上言葉はいりませんね?)

17*「H」のティンパニは八分音符である点に、充分気を配って下さい。それより長くても短くてもいけません。

18*「N」の木管とホルンの32分音符は、アインザッツをきちんと揃え、長さも合わせて下さい。トランペットにffが書いてありますが、ワンランクディナミークを落とした方がいいと思います。ffで本当に欲しいのは163小節の2つ目の八分音符からですが、それは他の管楽器と調和した大きさでなければならず、それを量るためにも、「N」の最初の2つの四分音符は、まだディナミークは控えめにしておいて、指揮者の意向を伺うのがベターでしょう。ただし、輪郭はボケてはいけません。

19*164小節後半からはトランペット次第です。pppまで効果的にディミヌエンド出来るためには、ここから少なくとも167小節まではアンブシュアに変化があってはいけません。168小節目は、ティンパニはトランペットの邪魔をしないように、むしろ手助けするように、正確に叩いて下さい。トランペットはテヌートのニュアンスは最低3種類くらいは工夫できると思いますので、パートで試して置いて下さい。

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