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2007年9月30日 (日)

「うつ」の方へ・・・お勧め2冊

私自身の「うつ」歴は3年で・・・その間に家内を失う、という、最大の哀しみを経ることになり、あらためて、自分のウツで家内に相当負担をかけたのではないか、と思うと、未だに悔いられてなりません。

が、そんな私でも、職場を中心とした周りの方々のご寛容で、なんとか回復しつつあります。

ネットでお知り合いになり、励まして下さったご友人たちにも大変感謝をしております。
・・・ですが、人を励まして下さりながら、ご自身がやはり「うつ」でお苦しみ、お悩みの方もいらっしゃいます。



世の中は、「うつ患者」が決して「暗い性格なやつ」であるわけではなくて、「病気の人なんだ」とうことを、ようやく認知し始めたばかりです。
ただ、困ったことに、これが「うつ」に関する本の種類・出版数を無尽蔵と言えるまで増やしてしまい、「うつ患者」自身にとっても、「うつ」の人が側にいる環境にいる人(多くは家庭と職場)にとっても、かえって

「ウツとは何か」

を分かりにくくし、患者本人、患者と対峙しなければならない人が「うつ」の本質を知ることを妨げている気がして、非常に危うく思っておりました。

ですが、患者本人も、周りの方も、「うつ」とは何か、については、やはりよく知っておくべきだと思っております。

「うつ」が病気だということが「常識化」しなかった背景には、ネット社会の到来前には、少なくとも企業や行政にとって重要視しなければならなかったほどの患者数がいなかったことがあります。

なるほど、週休2日が普及し(未だに恩恵を受けていない人も実際には多数にのぼるのですが)、商店が夜遅くまで開いているなど、ネット社会到来前に現役を退いた方々から見れば
「ラクで、いい世の中になったねえ」
という見方が固定化しているのでしょう。

ですが、本当は、社会が、バブル経済破綻を境目に「自分の縄張りだけで仕事を考えればいい」という環境から「外へ目を向けなければやっていけない」状況へと変貌したことには、案外目が向けられていませんし、半面、業務は分業化が細かく細かく進んでしまっているために、家庭からは家族の仕事が見えない、仕事をしている本人も自分の仕事が見えない・・・そんなことが当たり前になっています。
「うつ」とは精神がにっちもさっちもいかない状況で、ノイローゼとは違って「精神そのものがおかされてしまう」病気だ、ということは、かなり以前(少なくとも百年前)には明らかになっていましたが、文献は専門的なものしか無く、一般人の需要もありませんでした。
ここで、現在の、関連書籍の増加に目を向けて下さい。・・・これこそ、今という時代が、「うつ」の解決法を一般人までが必要としなければならなくなった現れです。社会は確実に変貌してしまったんです。
まずは、そのことに思いを致して下さい。



ただ、需要と比例して供給の絶対数が増えるのは当然としても、供給される書籍の種類が多すぎるのは、「質的供給過剰」です。私は、自分が「うつ」になるとは予想もしていませんでしたが、学生時代の専攻の関係で、30年前には「うつ」に関する本を読みました・・・今出回っている本で、病気の知識そのものについては30年前の本よりも進化した本なんて、断言しますが、1冊もありません。
ただ、「分かりやすいもの」・「社会復帰支援を目指したもの」が現れていますから、それは是非、ご一読頂くのがよろしいかと存じます。


苦しみから救われたければ、あまり多くの知識を詰め込みすぎることは逆効果です。

・なるべくやさしく「うつ」が分かる
・「うつ」から社会復帰するために考えるべき手順がきちんと記されている

この2点に絞り、それぞれ1冊ずつ、私が推薦できると思ったものを下に掲載しておきます。

「うつ」に陥っているあなたへ (健康ライブラリーイラスト版)Book「うつ」に陥っているあなたへ (健康ライブラリーイラスト版)


著者:野村 総一郎

販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


私自身は購入していないのですが、肝心のことは網羅しており、知らなくていいことについてはくどくど突っ込んでいない、良い本です。部下に「うつ」患者を持った上司にも(実はそのものズバリ、そう言う上司が読むために、と書かれた本もありますが、それよりはむしろこっちをお勧めします)読んでもらいやすい、イラスト豊富な点がポイントです。

「うつ」からの社会復帰ガイド (岩波アクティブ新書)Book「うつ」からの社会復帰ガイド (岩波アクティブ新書)


販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


私が最初の復職をする直前に、信頼する侍医さんが薦めて下さった本です。「ウツ患者」の方は、ある程度回復基調にあるか、調子のいい日でないと、読むには若干辛い内容であるかもしれませんが、いま自分が覚悟しなければならないこと、いざとなったらどこにどう救いを求めるべきかということについても、手にとった限りでは一番良い手順でまとめられている本です。


私とお知り合いであるかそうでないかに関わらず、一人でも多くの、私の大切な「同時代に人生をともにしている仲間たち」が、
・・・「うつ」の方は一日も早く「うつ」であることに不安を感じなくなれますように
・・・「うつ」でない方は、「うつ」とは何ぞやを知ることによって、本当の思いやりの心をもって下さるように、
そして互いによりよい日々を過ごしていけましように。
心から祈っております。

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コメント

初めまして。キンキンさんのブログ経由でたびたび訪問させていただいており、Kenさんも私と同じ病気で通院されていることを知りました。私は2年前から通院(今から思えば症状はもっと前から出ていました)しています。私の場合、身近な人には本音を言えず、本当につらかったのですが、信頼できる今の主治医に出会ってやっと回復に向かうことができました。今ではジムにも通い(症状がよくなってくると軽い運動はうつにはよいそうですね)上岡さんのコンサートのために一人でつくばにまで行けるようになりました。
ところで、Kenさんもお書きになっているように最近「うつ」関連の本が本当に多く出版されていますね。『心の風邪』とか言って一種のブームみたいに・・・私は『風邪』なんかちゃう!『肺炎』や。(ゴメンナサイ大阪人なんです。)と思っていますが。本は私も手当り次第読んでいた時期がありましたが、どれもよく似た内容で、いま一つピッタリくるものがありませんでした。「うつ」からの社会復帰ガイドは私も会社員ですので、かなり参考になりました。お奨めだと思います。
最後にKenさんのブログを拝見していて、いつもお子様達の健気な姿に打たれます。私も母ですので
胸を衝かれます。おふたりの為にもKenさんが日々お健やかに過ごされることをお祈りいたします。

投稿: あか | 2007年10月 1日 (月) 01時09分

あか様、コメントを頂き厚く御礼申し上げますとともに、遅いご返事を心からお詫び申し上げます。

私ども家族へのお心遣いにも、どう申し上げたらいいか、適切な感謝の言葉が見つかりません。

「うつ」を「心の風邪」と言っていたのは承知しておりますが、これは「鬱状態」と「鬱病」を混同した、まことに論外な表現で、ある意味で、病気としての「うつ」の理解を今でも妨げている根源で、非常に残念に思っております。

大阪はいとこがいるので、子供時代二人で淀川の河原に布団を運んで寝た思い出があり、愛着があります。キンキンさんも、私の大変尊敬する方です。
駄文ばかり綴っているブログで大変おはずかしい限りですが、今後とも宜しくお願い致します。

上岡さんがお聴きになれるのはうらやましい限りです。私は、せめてCDだけでも何とか入手したいと思っております!

投稿: ken | 2007年10月 1日 (月) 21時10分

確かに、私も「心の風邪ですね」と、いろんな人に(善意で)言われる度に、「風邪にしては、ムッチャきついで、これは」と思っております。
競争社会で、次々に仕事の負荷は多くなり、なかなか辛い世の中になりつつあるような気がします。現在、私はSSRIと安定剤でしのいでいます。あと、「ぼーっ」とすることの大切さを最近知ったのも助けになったような気がします。
まとまりませんが、コメントまで。

投稿: イワン | 2007年10月 3日 (水) 22時04分

イワンさん、

「心の風邪」といういい方には、早く引退願いたいなあ、と思っております。これはあくまで通常の「うつ状態」をさすのであって、「鬱病」には当てはまりませんから。

これが「分裂病」となると、これは心のアルツハイマーですが、「うつ」であっても「心の癌」です。

善意はありがたいですが、「風邪じゃなくてねえ、癌なんですよ」と言って相手の方をぎょっとさせる・・・のもまあ、しかし、気が引けると言えば引けますねえ。
「ぼーっ」とするのを身につけるコツは、是非ご伝授下さいね。

ありがとうございました。

投稿: ken | 2007年10月 3日 (水) 22時51分

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