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2007年9月19日 (水)

ハイドン観察:交響曲(2)エステルハージ時代以前の交響曲-1

ハイドン観察:交響曲(0):前説
ハイドン観察:交響曲(1):交響曲以前(成長過程)


エステルハージ家に仕える以前に創作したとされている交響曲は、ロビンズ=ランドンの研究を踏まえたガイリンガーの記述によると,以下の19曲です。
今回は、ガイリンガーの記述をそのまま受け入れ、ランドン(およびそれをおおむね妥当と認めたガイリンガー)の推測した創作順で各交響曲を並べ、その楽章構成を列挙しておきます。
この表を踏まえ、次回からは6曲くらいずつまとめて、具体的に作品の内容を観察したいと思います。

・・・それにしても、通用している番号と創作の順番が如何に合っていないか、には愕然とするしかありませんでしょう?
バッハのカンタータの番号と同じようなもんですから。
なお、冒頭の「創作順数字」に()がついている場合は、「だいたいこのへんだろう」と考えられていることを表しています。交響曲番号の後ろは調を表します。
(以下、誤りにお気づきの場合はご教示下さいますようお願い申し上げます。)

01 .第1番(D)〜I.Presto II.Andante III.Finale-Presto
02 .第37番(C)〜I.Presto II.Menuet III.Andante IV.Presto
03 .第18番(G)〜I.Andante maestoso II.Allegro molto III.Tempo di Menuet
(04).第19番(D)〜I.Allegro molto II.Andante III.Presto
05 .第2番(C)〜I.Allegro II.Andante III.Finale-Presto
(06).第108番(交響曲B)(B)〜I.Allegro molto II.Menuetto Allegretto III.Andante IV.Finale-Presto
(07).第16番(B)〜I.Allegro II.Andante III.Finale-Presto
(08).第17番(F)〜I.Allegro II.Andante ma non troppo III.Finale-Allegro molto
09 .第15番(A)〜I.Adagio-Presto-Adagio II.Menuet III.Andante IV.Finale-Presto
10 .第4番(D)〜I.Presto II.Andante III.Finale-Tempo di Menuet
11 .第10番(D)〜I.Allegro II.Andante III.Finale-Presto
12 .第32番(C)〜I.Allegro molto II.Menuet III.Adagio ma non troppo IV.Finale-Presto
13 .第5番(A)〜I.Adagio ma non troppo II.Allegro III.Minuet IV.Finale-Presto
14 .第11番(Es)〜I.Adagio cantabile II.Allegro III.Minuet IV.Finale-Presto
15 .第33番(C)〜I.Vivace II.Andante III.Menuet IV.Finale-Allegro
16 . 第27番(G)〜I.Allegro molto II.Andante:siciliano III.Finale-Presto
(17).第107番(交響曲A)(B)〜I.Allegro II.Andante III.Allegro molto
18 .第3番(G)〜I.Allegro II.Andante moderato III.Meuet IV.Finale-Allegro
(19).第20番(C)〜I.Allegro molto II.Andante cantabile III.Menuet IV.Presto

「様式から判断して、この順番はおおむね妥当だろう」とのことなんだそうですが・・・うーん、速度標語からだけでは、私みたいなもんには、ちーっとも分かりません。。。

いちおう、簡単な集計だけとっておきましょうか。。。

1)調:ハ長調=5、ニ長調=4、変ホ長調=1、ヘ長調=1、ト長調=3、イ長調=2、変ロ長調=3
調号1つの調が9、2つの調が7、3つの調が3です。

2)各楽章の速度標語(molto 、cantabile等の修飾語、付加語は考慮しない)
第1楽章〜Presto=3、Vivace=1、Allegro=11、Andante=1、Adagio=2、速度変化=1
第2楽章〜Allegro=3(18・5・11)、Andante=11、Menuet=5
第3楽章〜Menuet(Minuet/Tempo di Menuet)=7、Andante=3、Adagio=1、Allegro=2、Presto=6
第4楽章〜Presto=7、Allegro=2、なし=10

終楽章の速度標語〜Presto=13、Allegro=4、Menuet=2

※冒頭が緩徐楽章なのは第18(3番目)、第15(9番目)、第5(13番目)、第11(14番目)です。
※第2楽章がAllegroである3曲の第1楽章はAdagioもしくはAndanteです。他に第1楽章がAdagio-Presto-Adagioである第15番は、第2楽章にメヌエットを置いています。
※"Menuetto"の表記は6番目の第108番(交響曲B)にのみ現れます。
※"Minuet"の表記は第5番、第11番に現れます。いずれも4楽章構成。
※メヌエットもしくはそれに準じる楽章を持たないのは第1・第19・第16・第17・第10・第27。
※強いて言えば、第1(1番目)、第18、第19、第2(3〜5番目)、第16、第17(7〜8番目)、第4、第10(11番目)は「中間楽章にはメヌエットがない」点で、「2、6、9、11番目の4つの断層」を挟んだだけの「連続性」は感じさせてくれます。
※4楽章構成のものは2番目の第37、6番目の第108、9番目の第15、12〜15番目4曲、18番目の第3、19番目の第20。時期がばらけていることになります。ただし、第3番・第19番は「最後の作品」であり、他は前項の「メヌエットを中間楽章に持たない作品」の断層に当たるものです。
※16〜18番目は終楽章を除き、近似した速度標語を持つ点で連続性が感じられます。

・・・というわけで、ランドン〜ガイリンガーの仮決めした順番から分かることは
*2、6、9、11番目に、何らかの理由で断層はあるが、おおむね連続性は感じられる
*この断層の部分では、最後の断層(11番目)を除き、4楽章構成が暫定的に試されたのかも知れない
*12〜15番目で一旦4楽章構成を定着させかけ、間に緩徐楽章で開始する2作品を置いてみたが、16〜18番目で再び3楽章構成に戻すかどうか迷っているようだ
*メヌエットを定着させるかどうかについては、11番目、16〜17番目で一反躊躇するものの、9番目以降ではほぼ「定着」指向となっている、かも知れない
の4点でしょうか。

したがって、断層の理由をある程度明らかにし、連続性を確実にするためには、内部的な要因はどうなのか、を観察すべきだ、となるわけですね。
あるいは、当時の習慣としては3曲ないし6曲を、調性の関連性をも考慮して作曲するのが普通であったはずですから、そこも加味して検討する必要が、本当はあるのではないかと思います(これが、実はやってみようとすると難題です。1曲あぶれるだけでなく、順番にも疑問が湧いてきます)。

・・・分かるのかなあ。不安。

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