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2007年9月27日 (木)

スコアを読もう:ドボルジャーク:交響曲第8番(まず全体像)

10月はスケジュールを拝見すると、TMFの練習に参加が出来そうにありません。
関係各位には大変ご迷惑をおかけいたします。
(12月も、時間帯的・家庭事情的にはほとんど・・・直前の練習も参加不能です。すみません。)

せめて、お役目を果たすべく、スコアの読み方と個人練習のヒントだけは綴っていこうと思います。
9月中に先生から受けたお話を極力思い出しつつ、数回にわたって述べてまいります。
ご参考になれば幸いです。

本来はライネッケがもっとも馴染みも薄く、「読み」のお話を最優先ですべきものかとは考えていたのですが、スコア未入手(先々も見込み無し)ですので、ソリスト主導に期待するにとどめさせていただきます! m(_ _)m


先ずはドボルジャークの「交響曲第8番」から取り掛かろうと思いますが、作曲の経緯・伝記的事実等については触れません(分かりやすい伝記も出ていることですから)ので、あらかじめご了承下さい。

構造的には一見明快(実は、やはり明快!)なのですけれど、和声作りを怠ったり、転調の読み間違いをすると、みっともない仕上がりになります。逆にいえば、この2点に成功すれば、あとは(莫とした言い方で恐縮ですが)ニュアンスをどう把握するか、のみに留意すれば、補強メンバーのいない今度の演奏会でも、なんとか「まっとう」な演奏は出来るのではないかと思います。
(この点では「フィンランディア」の方が高い難度をもっています。なぜなら、「フィンランディア」は徹頭徹尾<和音の音楽>であるのに、旋律の美しさで見事にそれをカムフラージュしている。そのことに気づいている演奏例も演奏者も、非常に少ないのが実態ではないかと思っております。)

ただ、日本語版スコアでも解説(私は音楽之友社版を新たに購入しました)は極めて大雑把で、演奏上の参考にはほとんどならない上に、いちばん肝心のことについて記されていないのではなかろうか、と感じました。

今回は、そのことのみに触れます。すなわち、交響曲の全体像について、です。

この交響曲は、4つの楽章が非常に緊密に結びついている、という事実はご承知でしたか?
であれば、以下はお読みいただく必要はありません。



第1楽章のフルートのテーマにご注目下さい。
移動ド読みだとこうですね・・・
A:「ドーーーミーーー|ソ・ミラ・ミソ・ミラ・ミ|ソーミー・・ミー|ソーミードーレミ|ソーーー」
ってなもんです。これは、長ーい第1主題の2番目の要素です。
同じく第1主題の要素で
B:「ラシ|ド・ド・ド・:シドレ・レ・レ」
というのが、ヴァイオリンにある。

第2主題の最初(の後半)は(クラリネット)
C:「み・み|ミーレドシレドシ|ラーーー」
第2主題を締めくくるのは(第1ヴァイオリン)
D:「ミーレー|ファーミー|ソファ#ラソ|ドーシラソファミレ」
ですね。

この第1主題・第2主題の各要素が、他の3つの楽章をも支配しています。

第2楽章の開始部は、第1主題の中でもフルートのテーマの方の変形です。
「・ミファソ|ラーソファ|ソー」
は、
第1主題のAの一部、「ミー|ソーミードーレミ|ソーーー」
に対応しています。(第2主題にも準じる要素があるので探してみて下さい。)
途中の明るい主題の伴奏部の下降する音階は、明らかに第1楽章第2主題の締めくくりの部分Dを敷衍したものです。

第3楽章の主題は第1楽章第2主題のD末尾「ドーシラソファミレ」と関係していますし、トリオの主題はフルートの主題の方のAの3セクションめ、「ソーミー・・ミー」の部分のが逆行型を基礎にし、第2主題の「み・み|ミー」
の動機の応用型でもあります。

第4楽章の、チェロに始まる主題は、第1楽章のフルートの始まり方と同じ音
「ド・ミ・|ソ」
で開始されています。

その他、第1楽章の各要素は第2楽章以下に頻繁に現れます。

こうしたことに伴って、たとえば第4楽章冒頭のトランペットのファンファーレも、第1楽章の、序奏的な部分の直後のクレッシェンド部で伴奏を吹くトランペットと近親関係にあったりします。

まず、そのような目で、スコア全体を見渡しておけば、この作品の「本当の」面白さに迫ることが出来るはずです。
どうぞ、一度俯瞰的にご覧になってみて下さい。

これを理解した上で、第1楽章の冒頭部から、誰がどういうバランスで演奏したら、少しでも望ましい響きになるかをお考え頂ければ嬉しく存じます。

楽器全てを知悉している、とは、私はとても言えるような人間ではありませんから、不適切なことも申し上げる場合があるかもしれませんけれど、演奏技術をスコアの読みにどう対応させればよいか、についても、なるべく具体的に触れていきたいと考えております・・・が、どこまで出来るか。

とりあえずは、音楽の構造の概略ヒントのみ綴りました。
こんなところで。

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コメント

Kenさん、こんにちは。ドヴォルザークの交響曲第8番、好きですねえ。個人的な好みですが、「新世界」より名曲なのではないか、と思ったり致します。

いつもの通り、解説お見事です。

御存知かと思いますが、山本直純さんが生前、NHK-FMでレギュラー番組を持っていて、N響だけではなく、むしろそれ以外の東フィルとか都響とか日フィルの演奏録音に解説を付けてました。

あるとき、「ドボルザークの8番」をやったのですが、第一楽章を解説し始めて、すぐに、

「この人(ドヴォルザーク)、テーマがいくらでも浮かんできて、どう処理しようか、困ってますね」と笑っていたことを思い出します。

Kenさんも頭から解説し始めるとキリがないので敢えてカットなさったのでしょうが、冒頭の第一主題、好きですねー。クラリネット、ファゴット、ホルン、チェロ、かな?

「ミーミミ、ラーーソ、ミーフェレ、ドミソーファミー、レェファミィ・ドーー」ですね。

これが、手前味噌ですがペットで再現されるところが実にたまらない。

後は・・・・キリがない・・・から、フィナーレ。


Dからのフルートソロ、可哀想だよ。ククク・・・・・。聴いてる分にはかっこいいけどさ、何処でブレス取れっていうんだ!(笑)。

このソロは、大きく二つの部分から成っていて、両方とも長く、リピートしますね。リピート直前の一拍、16分音符を2番さんに吹いて貰って、

その間にブレス、ぐらいしてもバチは当たらないと思うのですが、アマチュアでも、こと、この部分はムキになって、1番が「やったるわい!」という形相になりますね。


それから、コーダ。トロンボーン。

「ドーミソッソ、ソーソラッソ・ソーソラッソ、ソファミレドシラソ」(←「このテンポで」 「トロンボーンに」 「16分音符で」 「スラー」だって。ギャハハハ!)

という訳で下世話な話で申し訳ありません。が、私はこの曲、美しさに感動するのと、フィナーレの前述の部分では笑いがこらえられなくなる、という複雑な心理状態に陥ります。

お後がよろしいようで・・・。

投稿: JIRO | 2007年9月30日 (日) 18時11分

JIROさん、ありがとうございます!

第1楽章、ちょっと気合いを入れて準備中です。
JIROさんの調子にのせられるとネタバレになりそうなので、おとなしいお返事でお茶を濁しておきます・・・すんまへん。

直純さんが言ったのと似たことを、ブラームスが言っていたそうです。ただし、
「よく次から次に、こんなにメロディがでるもんだ! うらやましいよ」
というっものだったそうで。。。

投稿: ken | 2007年9月30日 (日) 22時58分

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