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2007年8月19日 (日)

モーツァルト K.203、204【セレナーデ問題?】(1)

ここまで読んできたモーツァルト作品の個々へのリンクを作成し直しました。ご利用下さい。



K.204は翌年の作品ですが、K.203と1年の時間を隔てながらも双子の関係にあると思われますので、一緒に扱います。本来、この他にこの2作品と並列で扱わなければならない作品にK.250もありますが、改めることとします。

先に、両作品の構成を併記してみます。

March in D K237                                    
K.203(august 1774)SERENATA             
1. Andante maestoso-Allegro asssai       
2.(Andante)                                            
3.Menuetto                                             
4.(Allegro)                                              
5.Menuetto(Flute持ち替え)                      
6.(Andante)                                            
7.Menuetto                                             
8.Prestissimo

March in D K215
K.204(Augusut 1775)SERENATA
1.Allegro assai
2.Andante moderato(Flute持ち替え)
3.Allegro
4.Menuetto
5.(Andante)
6.Menuetto(Flute持ち替え)
7.Andantino (grazioso)

どちらもニ長調の作品で、編成はオーボエ2、(ファゴット2、)、ホルン2、トランペット2ですが、K.204のほうが第1楽章に序奏部がないのとメヌエットが1つ少ない(K.203の第1メヌエットに当たるものがない)のが、まず表面上の相違点です。
また、先立つマーチでは、K.237のほうはヴィオラがありません。

双子関係だと考えるのは次の2つの事実によります。
・K.203では2〜4楽章に(ただし、調も変ロ長調ベースに変わります)、K.204では2〜3楽章に独奏ヴァイオリンが入ります。
・いずれも、中間楽章を省略して(k.203では2〜5楽章、K.204では2〜4楽章)交響曲版に改変され、ウィーン移住後(1783)に上演されているとのことです。この交響曲版にはティンパニが加えられているそうです。(NMAの解説にあり、K.204のほうはKonladの作品表の「交響曲」にも掲載されています。K.203の交響曲版が作品表に加えられていない事情は私には読み取れませんでした。)

前にこちらの記事に掲載したのですが、K.203のセレナーデ版と交響曲版の第1楽章前半の演奏を、ここで効き比べてみて下さい。

:ホグウッド/エンシェント
:マリナー/アカデミー

奏法の考え方自体に大きな相違がみられるので単純な比較が出来ないのですが、セレナーデ版の演奏の方が、19世紀後半以降「再発見」されたモーツァルト演奏の常識に沿っています。そこへ殴り込みをかけたのが交響曲盤の方で聴かれるような演奏で、主にホグウッドやアーノンクールの実践的な研究成果による演奏です。
ただし、どちらが正解、ということは、断言は避けましょう。
といいつつ、強いてあげれば、三連符の奏法についてですが、前古典派と呼ばれる時期までは、三連符の第1音を長めに弾くことが優雅である、との考え方がイタリア方面にはあったそうです。交響曲版の方の演奏には、こうした考え方は反映されていません。
一方で、レオポルト・モーツァルトは「バイオリン奏法」にわざわざ「三連符」の章を立てています。ここで述べていることはまた、前古典派のイタリアの流行とは違っているようです。
「自分の音楽的知識に大いに自信を持っている人でも、3つの音符の長さが等しい三連符を6つも8つも弾くことが出来ず、3つの音符のうちの最初の2つか最後の2つの音符を速く弾いてしましまいます。」(塚原訳 85頁)
「優雅」か「均等」か・・・私個人の嗜好からすれば、モーツァルトの作品では、出来れば「均等だけれど優雅」がいいのだけれどなあ、というところです。

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