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2007年7月 1日 (日)

「固定ド」か「移動ド」か:付)リハビリ問題へのリンク

東京ムジークフロー第44回定期演奏会の、演奏の音はこちらで聴けます。併せて(私個人の偏った視点ではありますが)反省もお読み頂けますよう、お願い申し上げます。


チャイコフスキーコンクールヴァイオリン製作部門で優勝・第2位・第4位を獲得した菊田さん、高橋さん、天野さんについて紹介させて頂いた記事はこちら

昨日、ある年輩の方と娘のソルフェージュのことで話しました。
「それで、お嬢さんは<固定ド>で覚えています? <移動ド>ですか?」
「それが、<固定ド>だけなんで、<移動ド>も覚えさせなくっちゃ、と思っているところなんですけれどね」
「いやいや、<固定ド>でいいんですよ。現代音楽の譜読みは、<移動ド>ではとてもできない。」
「無調ですからね。」
「そうです。現代音楽をやっていかなければならないときには、<移動ド>というモノサシを持ってしまうと、つらい。」
「絶対音高で読めなければ、理解出来ない・・・」
「確かに、ロマン派以前は<移動ド>が自由に出来ることも大事だと思います。ですが、私は<移動ド>世代として勉強をしてきましたが、現実に、臨機応変に<移動ド>を駆使出来るようになった仲間を、ほとんど目にしていません。」
「後期ロマン派になると転調も複雑で、頻度も高いですよね」
「それを理解するのに労力を割いているうちに、本番の日がとっくにすぎてしまう・・・」

この会話、さて、どうお採りになりますか?
ご感想は、読んで下さった方にお委ねします。

音楽に限らないですむように図式化すると、
「基調」や「意味」が確立されていないものに対しては、「絶対的な目盛を持つ」物差しが必要
「基調」等があるものについては、物差しの目盛は可変であることが望ましいが、習熟が難しい

というのが、話して下さった年輩の方の主張したかったことなのではないかと思います。

音楽中心のブログに、しかもご本人にお断りする前に勝手にリンクを貼ってしまって恐縮ですが、健康診断の結果がいつもいいことに大満足だった家内が急死して以降、常々「健康とは何だろうか」という疑問を抱きながら読ませて頂いたのが次の記事です。

参議院選挙・リハビリ問題に対する各党の回答

キンキン@ダイコク堂さんが普段ご自身も奮闘し、特にこの記事で、奮闘している方のご紹介も積極的になさっている「リハビリ」問題は、上の2つのいずれをもって考えていくべき課題でしょうか?
遅かれ早かれ、すべての私たちが、私たち自身で経験することになる切実な問題です。

「ついで」記事のようで、かつ私の見方を述べてもおりませんので恐縮なのですが、以下のリンクをご参照の上、<私たち自身を考える>一環として、「リハビリ」についても思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?

キンキンさんの「リハビリ日数制限問題」についてのおとりくみは、こちらでまとめて読めます。
・・・違う期待を抱かせるような標題で恐縮でしたが。

音楽の話に戻りましょう。
「移動ド」問題については東川清一さんが精力的に課題として取り組んできたことです。
「楽典の話」などの名著があったのですが、いま、見つけられません。
アマゾンでのご著作リストは以下のリンクの通りです。
「移動ド」・「固定ド」を考えるときに大きなヒントを教えてくれますので、ご興味のある場合はどれか一つでもお手にとって見て下さい。

東川清一さん著作検索結果

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コメント

先日はありがとうございました!

チューバ吹きは「移動ド」が多いです。
僕の場合、コントラバスチューバはC管、バスチューバはF管を使用しているのですが、チューバの記譜は金管バンド等で例外はありますが、ヘ音譜表の所謂inCです。トランペットのように管のスケールにあわせて記譜されていません。
その他、B管やEs管もあります。。。

なので、楽器を持ち替えた瞬間にスパッと楽器のスケールにあわせて主音の位置を読み替えます。

C管使って移動ドなら、それって「固定ド」もいけるのでは?と言う質問を受ける事があるのですが、実はそれほど器用でもないのです。。。
音色で判断している所為なのですが、どうしても演奏している楽器のスケールで音程を識別してしまうのです。

大学入試の聴音、とても苦労しました。
転調するとどうしても主音に対する認識も移動してしまうのです。
なので、2回目までで仮記譜して、3回目から時間までは全力で移調。。。

移動ド…これは慣れの要素が大きいと思います。
正直、コールユーブンゲンもコンコーネも新曲視唱も、移動ドで歌うのは何の苦もないですから。。。
無調の音楽に対する移動ドのハンデも感じなかったです。個々の音程間に対する音感は絶対音感に左右されるワケじゃないと思いますよ。

投稿: ばーちゅ | 2007年7月 3日 (火) 14時49分

ばーちゅさん、こちらこそ、いろいろご苦労をおかけし済みませんでした。かつ、心から御礼申し上げます。
オーケストラでは、金管は本当にいいように扱われていて・・・ホルンとトランペットは、もう、「この楽譜、ホントは何調?」ってのばっかりですよね。でも、トロンボーン、チューバはC以外の表記は、少なくとも私は目にしたことがありません。

「移動ド」についてひと言いえば、ヴァイオリン属の弦楽器はレッスンは必然的に「移動ド」ですね。ヴァイオリンはイ長調、ヴィオラとチェロはニ長調から始めますからね。ヴィオール属は、私は全く知りませんが。

でも、実は、このトピックの目玉は、ブラック・ジョークだということなんです。
「固定ド」・「移動ド」って言われて、私たちが普通に思い浮かべるのは、西洋の長音階と短音階でしょう? これが、トリックです。
要は、この会話には「旋法」の概念が欠落している。だから、それが分かると、こんな会話自体がいかに滑稽かも分かる、という次第です。
あんまり長話もいけませんが、いわゆる教会八旋法は教科書では調号なしで記されていて、たとえばドリア旋法なら「レミファソラシドレ」と読むことに、普通何の違和感も感じないでしょう? ところが、ドビュッシーなんかは、こうした教会旋法をいろんな音高に勝手にどんどん変えていく。だから、場所によっては、ドリア旋法を使っていても「固定ド」でいう「レミファソラシドレ」の場所に音がある訳ではなかったりする。
「無調」と一緒くたに言われている音楽もまた然りで、十二音技法をはじめとするセリー音楽あり、以下、勝手に用語を作っちゃいますけど、バルトークみたいな「有旋法的無調」とか、ショスタコーヴィチみたいな「調性的無調」もある訳です。「調」と呼べるものではなくなってしまっているのかもしれないけれど、なおそれぞれに「旋法」を持っていますよね。

日本人は、こんな大事な「旋法」の話を抜きにして音楽を理解してきてしまったのではないか・・・最近のプロオケの人たちは、このあたり、ずいぶん勉強なさったのではないかと思います。僕らが20代の頃までに聴いた演奏とは、出来が雲泥の差ですから。
また、たとえばウェーベルンが実はイザーク研究の大家だった、という事実を、私たちはもっと認識すべきではないかと思うのですが、いかがでしょう?
・・・次はオケでウェーベルンやってみたいんだけどな(バッハの編曲じゃないやつを、ですよ)・・・こんなの、団の人が読んだら、起こられちゃうな。やばい。

投稿: ken | 2007年7月 3日 (火) 21時52分

なるほど!そうですね。
大事な事を忘れていたようです。

自分の話で恐縮なのですが、年に数回とりつかれたようにヒンデミットをさらうのですが、どうしても解釈できないボトルネックの原因はこのあたりにヒントがありそうです。

今夜は角度を変えて譜面読んでみます!!!

投稿: ばーちゅ | 2007年7月 5日 (木) 10時19分

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