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2007年5月 9日 (水)

モーツァルト:4手のピアノのためのソナタ

私の所属する東京ムジークフローの定期演奏会について掲載しました。
ご招待の企画も(個人的に)しております。リンクご参照の上、是非おいで下さい。



モーツァルト続きですみません。
(勢いがあるわけではなく、続けて読まざるを得なくなっているだけです。)
これも、1772年の作品を1つ読み落としていました。

K.381(1772)
K.358(1773〜4)

の2作を採り上げます。

協奏曲は別として、彼には(疑作・偽作も含め)
・2台のピアノのための作品〜6(ソナタは「のだめ」で有名になったK.448のみ)
・4手のピアノのための作品〜7(うちソナタが6曲)
がある、とされています。(NMA第20分冊に収録)

4手の作品中、K.19dが最近では疑作とみなされていることについては、K.19dの記事に綴りました。
が、それを含め、上の2種類の違いは次のようなところにある、と、読譜上では感じております。

すなわち、
・2台のピアノのための作品は協奏交響曲的(独奏協奏曲には編曲しにくいでしょう)。
・4手のピアノのための作品はシンフォニー的

だという印象です。

2台のピアノだと、1台ずつが上声部も下声部も演奏しますから、どちらにも派手な効果を盛り込んだ個所があるため、単純なオーケストラ曲に変換することは考えにくくなるのだと思われます。

それに対し、後者は、1台のピアノの中で一人が上声部、一人が下声部を担当するものですから、より「安定的な」曲造りがなされるのでしょう。主題の取扱方法や声部間での役割の入れ替えタイミングなど、複雑な細工をした個所は全く見当たらず、2台のピアノ作品に比べて自然な、穏やかなやりとりがなされているのをはっきりと感じます。
パッと見ではヴィオラを2部にしたり、2ndViolinの伴奏音型で一部の音をオクターヴ上げたりし、ファゴット2本を弦楽の低音部と独立に扱えば、彼がこの時期に作曲していたシンフォニー(25番など)と、かなり似た雰囲気で響くようにオーケストレーション可能でしょう。
(私なんかがやっても、ヤボにしか仕上がらないけれど。)

4手のピアノのための作品の自筆稿は、残念ながらここまでのものはK.358以外には残っていないそうです(大英博物館蔵)。
K..358自筆稿の冒頭頁の写真版(NMA掲載)を見ると、他の曲種と違い、曲名・作曲者名の署名がないのが分かりますが、これは作品が「私的な」性質であるためなのか、そうではないのか、または掲載されていない裏側にでも記入があるのか・・・解説がありませんので分かりません。

K.19dは幼いモーツァルトが姉ナンネルと一緒に演奏した記録が残っていますが、演奏に用いられた楽器はクラヴサンでした。
それから7,8年後、4手の作品はどのような楽器で演奏されたのでしょうか?
これは鍵盤楽器の発明と普及史を確認しないと推論が立てられませんね。
ただ、現代のピアノほどの音量で演奏されたのではないことだけは、断言してよいでしょう。
(私の仕入れてあった「モーツァルトピアノ作品全集(輸入盤)」は、全作品を古い型のピアノフォルテで演奏しています。)
ピアノフォルテの音色はクラヴサンやハープシコードの音、現代ピアノの音のいずれにしか耳慣れていない私たちには、前者と後者の中途半端な混合体のように感じられなくもありません。そんな違和感に耐えられない方も、とくに年配の方には多くいらっしゃるのではないかと思います。
ですが、モーツァルト当時のピアノを用いての演奏は、イングリッド・ヘブラーなども初期協奏曲作品でかなり以前に録音までして試みており、決して最近突然始められたものではありません。

ただ、本当に「いいなあ」と思える演奏に巡り会いにくいのも、まだまだ現実です。取り組む
方たちは研究熱心ですので、いまはまだ奏法も模索段階が続いているのであって、いずれは何
かしら安定した印象を与えてくれる演奏も、当たり前になされるようになっていくのではない
かと思います。

ずれたことばかり綴ってすみません。

年は1年あいていますが、2作とも、質的に大きな差はありません。この時期のシンフォニーの方はある程度の落差を感じさせるだけに、2作とも良質な仕上がりである背景には、モーツァルトがストレートに鍵盤に向かって鍵盤のための音楽を作ったがための、ある意味、リラックスした心理がはたらいているのではないかと想像したくなります。

なお、アルフレート・アインシュタインは、K.358のほうはK.381に比べて進歩がない、と、前者を低く評価しています。。。そこまで低める要素は、K.358にあるとは、私は思いません。
かつ、アインシュタインの書きぶりからは、彼がオーケストレーションしたらこうだろう、というイメージも持っていたと思われますが、当時のモーツァルトの 持っていたオーケストレーションのイメージとはズレがあるのではないかと感じます。

下記アフィリエイトは私の所有しているCDとは異なっています。
私は、聴くときは
ピアノフォルテによる全作品集
のほうで聴いております。




モーツァルト:2台、4手のためのピアノ作品集


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