« 死について | トップページ | Hさんを偲んで・・・最近の彼の演奏から »

2007年5月25日 (金)

ご紹介「第九 歓喜のカンタービレ」

私たちの大切な友、Hさんの死を通じて考えたことは、こちらに綴りました。

綴るタイミングが悪くなってしまいましたが・・・
亡友H氏との思い出もある作品についての書籍ご紹介ですので、あえて。
(ご容赦下さい。)

以前どこかで誰かに話した気もするのですが(あるいはブログのどこかに綴ったかもしれないのですが)、特定の作品について何冊もの本が出されている、というのは大変珍しいことです。

中でもベートーヴェンの「第九」をテーマに据えた日本の書籍は、群を抜いて多い。
私が持っているだけでも、年代順にならべると

・小松雄一郎 <ベートーヴェン第九 フランス大革命に生きる> 築地書館 1979
・武川寛海   <「第九」のすべて> 芸術現代社 1987
・井上道義監修<DA・I・KU> 三修社(マズア指揮のCD付)1990
・横田庄一郎 <第九「初めて」物語> 朔北社 2002

最後の一冊だけは、第九の日本初演を扱ったもので、他とは毛色が違います。
この他に、たしか別冊太陽にも特集号があったりしましたし、古書を探せば枚挙に暇がないほど存在するかもしれません。

ロマン・ロラン「第九交響曲」の訳書も、みすず書房から出ていました。これも読みました。

まあ、手持ち分だけ読めば、「第九」創作の背景や演奏史について一般教養に不足はないだろう、と、たかを括っていました。

先日、もぎぎさんの三鷹シリーズ(「エロイカ」のレクチャーコンサート)に伺うことが出来た際、また別の、新しい第九の本を売っていました。発売されていることは知っていましたが、あえて探したりもしませんでした。
ですが、この本、もぎぎさんが「第九」をレクチャーコンサートしたときの映像がDVDに収録されてついています。ロビーで試写をしていました。それを見てしまったら、
「ああ、これはもう、買うしかない!」
それで、手が出てしまいました。
中身を読むつもりは全くありませんでした。
この日初めて体験できるレクチャーコンサートを、帰宅後も(曲は違えど)家でまたいつか味わいたい。だから、DVDさえあればいい。
それだけを思って買ったのです。

DVDを見るゆとりは、今の生活では殆どありません。
それが、今週は体調を崩したので、たまたま早退し、見ることが出来たのです。
映像は映像で期待通りにレクチャーコンサートの追体験が出来たので大満足でした。
が、見ているあいだについ、読む気のなかった本の中身の方まで覗いてしまった。
・・・運の尽き、でした。

野本由紀夫編 「第九 歓喜のカンタービレ」 ネット武蔵野 2006

じつは、あんまり「読もう」と思っていなかったのには理由がありました。
最初に載っている対談のメンバー(指揮者某氏と評論家某氏)が、私は以前から、あまり好みではなかった。

ところが、この、好みでなかった人たちの対談が、実に面白い。
もう、人が好きだの嫌いだの、ということは関係がありません。
中身には触れませんが、とにかく、急所を突いた楽しい、ためになる対談だった。

で、あとは一気に読み進めました。
以前何冊も読んだ第九の本が要らなくなる、と言っても過言ではないほど(いや、少しは「過言」です)、充実した内容でした。

シラーの詩からベートーヴェンが作曲した動機への推測まで、またそれらの時代背景について、ベーレンライター版問題について(まさにこの話で、私とH氏は盛り上がったことがあったのでした)、さらには同じ詩に付けたシューベルトの有節歌曲のことまで、
とにかく多彩な執筆者が多彩な筆遣いで綴っている。

「音楽作品を知る努力、というのはこういうものか!」

それをイヤというほど思い知らされる結果となりました。

付録DVDだけでない、本文も、絶対にお勧めできる内容です。

お手にとって見ていただければ幸いです。

|

« 死について | トップページ | Hさんを偲んで・・・最近の彼の演奏から »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95716/6547044

この記事へのトラックバック一覧です: ご紹介「第九 歓喜のカンタービレ」:

» ステキなクラシック音楽で心を癒しましょう。 [癒しのクラシック音楽]
心を癒してくれるすてきなクラシック音楽を紹介しています。 クラシック音楽でほっとするひとときを過ごしましょう。   [続きを読む]

受信: 2007年5月25日 (金) 20時08分

« 死について | トップページ | Hさんを偲んで・・・最近の彼の演奏から »