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2007年3月14日 (水)

グリーク:ピアノ協奏曲読解の参考

・・・なんて、建前だけは立派そうですが、
1)ショスタコーヴィチは実は終楽章が最も読解が難しいので悩んでいる
2)グリークのピアノ協奏曲は25歳という早い時期の作品で、どう読むかに悩む
の2点があり、どうせだから後者の事前準備を、と思った次第です。

悩みの種は、グリークの他の有名な管弦楽作品が、協奏曲に比べると、彼が作曲家としてもっと熟練度を増してからのものである事です。
列挙しますと、

十字軍の兵士シグール(シグルド)〜1865年(3曲にまとめたものの作品番号は56だが)
ペール・ギュント 〜1872年(第1組曲は作品46、第2組曲は作品55)
2つの悲しき旋律 作品33〜1880年
ノルウェー舞曲 作品35〜1881年
叙情組曲 作品54〜ピアノ作品<叙情小曲集>第5集(1881年)の管弦楽編曲
ホルベアの時代から 作品40〜1884年
変奏曲を伴う古いノルウェーのロマンス 作品51〜1891年
交響的舞曲集 作品64〜1898年
2つの叙情的小品 作品68〜1898年

といったところです(作品33、作品40、作品51、作品54、作品68はドーヴァー版で1冊にまとまったスコアが出ています)。
したがって、読解上オーケストレーション上で参考になるのはせいぜい「十字軍の兵士シグール」と「ペールギュント」だけ、ということになります。
が、お聴きになってすぐお感じになる通り、「ペール・ギュント」とピアノ協奏曲ではオーケストレーションにあたってのグリークの方針は全く異なっているとしか考えられません。
ピアノ作品で協奏曲と最も年代が近いのは「叙情小曲集第1集」作品12で、協奏曲全体の音楽を読み取る際には、むしろこちらを参考にすべきでしょう。全音の「グリーク名曲集」(全2巻)ではこの集の曲は第1巻の方に記載されています。ただし、原集の順番通りではありませんので、ご留意下さい。

グリークのピアノ作品は今回もソリストをお願いするブローテンさんが全集録音をしているのですが、発行元倒産で現在は入手出来ないのが残念です。

ドビュッシーが残している評論では、グリークはあまり好意的に扱われていないのが面白いところです。
「前から見ると彼は天才的な写真家といった様子をしている。うしろからだと、紙ののばしかたが、<ひまわり>と呼ばれる、鸚鵡とか田舎の小駅をかざる庭とかにおなじみの植物に、彼を似通わせている。年にも関わらず敏捷で痩せており、神経質に細かく気をくばって管弦楽を指揮する。その指揮ぶりは落着きがなく、あらゆるニュアンスを強調し、つかれを知らない心づかいで感情の動きを配分する。」(平島訳「ドビュッシー音楽論集」岩波文庫)
あまりいい訳だとは思えませんが、原文が読めないので何ともいえません。
ここでドビュッシーに戯画化されたグリークは、当時60歳を目前にしていたはずです。
が、描かれた指揮姿は、熟年後の作品から伺われるグリーク像よりも、むしろピアノ協奏曲に似つかわしいような気がするのは・・・思い込みが強過ぎるでしょうかネ?

これだけです、スミマセン。

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