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2006年12月15日 (金)

チェリビダッケ 音楽の現象学


チェリビダッケ 音楽の現象学―28のオーケストラとのコンサート記録付

「古典」となるべき本を発見しました。

勤め帰りに、娘に頼まれたCDを買おうと寄った店で見かけ、頼まれたCDを見捨てて、すぐこちらを手にとってしまいました!
11月には出ていたんですね。知らなかった!

電車の中で、ほぼ一気に読みました。
母国でも未出版の「講演テープ筆記原稿」が、なんと邦訳で出版されたのですから、貴重です。

まず、チェリビダッケの講演そのものは47頁。
それに先立って挨拶ないし講演をした方の分は23頁。
講演後の質疑応答が13頁。

短い。
簡潔。
しかし、難解。
哲学と数学にも深い素養を示していたというチェリビダッケですから、文字通りの本当の「現象学」上の用語が駆使されていて、それに目くらましされると、先を読むのが覚束なくなります。

ところが・・・「目くらまし」さえうまく逃れる方法を見つければ、実に分かりやすい。

素人は、作曲家の書簡集やエッセイにはその人の作品についてあまりに触れられていないことに愕然としたりします。
で、ピアノ曲はピアニストの、管弦楽曲は指揮者の「解釈(そう呼んでいいのなら)」で綴られたものが案外豊富にありますので、ついそれらを頼りに音楽作品を理解したようなつもりになったりします。

チェリビダッケの、この講演録は、その点、まったく異なります。
彼が本講演の中で語り、ディスカッションで答えている話は、具体的な音楽作品とは一切関わりがありません。
彼が語っているのは「音楽そのものとは何か」、のみです。

講演の初めの方で、彼が導入として語っている言葉の中から、一節のみ引用します。

「音楽は、今在る何物かではないのです。唯一無比の条件のもとで、何かが音楽に成り得るのです。そして、この何かとは、響きです。つまり、響きは音楽ではないが、響きは音楽に成り得るのです。」

じつに、明解です。と同時に、難解です。

明解と難解が、少ないページ数の中に集約されている・・・まさにこの点に、本書が「古典」となっていくしかるべき品格を感じざるを得ません。
(日本の古典で言えば「花伝書」のような実用を目指したものよりも、藤原定家の思想の結晶とも言うべき「毎月抄」に相当する、と言うべきかもしれません。)

私が電車のなかで夢中で貼付けた付箋は、講演部分とディスカッション部分を併せ、今数えたら19に達していました。これらの部分の総ページ数の、3割強が、即座に心に突き刺さった、というわけです。

音楽を模索している誰にでも、それぞれの方によって違いはあったとしても、同じくらい、あるいは真面目な方だったらもっとたくさん、この本から「出会い」を見つけて頂けることを、保証します。

(ついでながら、なぜチェリビダッケが「録音」を避けて来たのか、という点についても、「録音嫌いだったから」という俗説ではない、彼にとっての真実が、この講演録の中から浮かび上がってきます。チェリビダッケがお好きな方にはとくに、必読と申し上げたく存じます。・・・じつのところ、私はチェリビダッケの強烈なファン、というわけではありません。それでも本文の3割に、あっという間に目から鱗を落とされたのです。そのこともご勘案頂ければ幸いです。)

チェリビダッケ 音楽の現象学―28のオーケストラとのコンサート記録付 アルファベータ社

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コメント

kenさん、
情報に感謝!
アマゾンのカートに入れました。
タイミングを見計らって買います。
(アマゾンは買いすぎが怖いですからね)。

調子はいかがですか?

それでは!

投稿: ガメラ | 2006年12月17日 (日) 17時37分

ガメラさん・・・この際ですから、思い切って買ってしまって破産しましょう!(ナンテ)

調子は・・・起伏が激しくなり心配になったのですが、お医者曰く、
「快方に向かっている証拠だから」
たしかに、そういわれてみると、元気なときは前とは違って妙な躁状態のようなものは無くなってきました。

まだ月7日欠勤2日早退のペースですが、今日は所属するアマオケの練習になんとかフル参加できましたし・・・で、あさってまた欠勤、かなあ。。。
正月にはビール1杯くらい飲めるようになるのを目指して、まあ、のんびりいきます。

いつもありがとうございます!

またチョッカイ出しますね!

投稿: ken | 2006年12月17日 (日) 19時35分

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