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2006年11月12日 (日)

シューマンを聴く:「僕はいまクララをきき終わったばかりなのに」

「のだめ」奮闘記録(もぎぎさんによる)を是非ご覧下さい!
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  ご参考になれば。



Claraシューマンの伝記・関連書籍が店頭で見当たらない・・・昼休みにやっと1冊見つけたそれは、買いに向かった夜、先に誰かの手に渡ってしまっていました。記念年をおおいに祝われたモーツァルト、誕生日が近づくにつれ盛り返してヒートアップしたショスタコーヴィチとは何という違いでしょう!
没後150年、という記念年ですから、「しんみり」の方が似合ったのかな? 4年後は生誕200年だから、そちらで盛り上がってくれるのかな?

そんな中、シューマン自身の名評論集「音楽と音楽家」(吉田秀和訳 岩波文庫 青502-1 第1刷は1958年)だけは第32刷として今年ふたたび現れ、大変嬉しくて飛び上がってしまいました。古いのもあるのに、気がついたら家で新品を手にしていました。
今回の標題は、この書の中でシューマン(ロベルト)が1833年、クララ(7年後に彼の妻となる)について記述した節の冒頭の句です(32頁)。以降、何を述べているかは、どうぞ、文庫本をお手に取ってご覧下さい、と申し上げておいた方が、「お楽しみ」でしょう?

クララは少女時代から有名な天才ピアニストで、リストやショパンからも尊敬を受けたそうです。とくにリストはクララのコンサートにゲスト出演しましたし、クララの方もリストのコンサートにゲスト出演する、というほど、双方の才能を認め合っていたようです。

夫シューマンの悲しい晩年から死の時期にかけ、献身的に自分を支えてくれたブラームスと、しかしこちらも辛い恋愛をしたことは、ブラームス関係の伝記に必ず出てくる話題です。それでも、というより、そうだったからこそ、二人の関係は、恋愛を乗り越え、お互いへの親愛と敬愛で、より深く結びつけられたのでしょう。・・・ただし、ブラームスは後年、クララの娘ユーリエ・シューマンのほうに恋心を抱き、それに気付かずユーリエをイタリア貴族と結婚させてしまったクララに怒り心頭だったことがあるようです(三宅幸夫:カラー版作曲家の生涯『ブラームス』新潮文庫 108頁参照)。この事件はブラームスが「アルト・ラプソディ」を作曲する動機の一つにもなったそうです。

ここまで出てきた男性陣は、ピアノ音楽の作曲家としてみたとき、全て、こんにちまで愛される名作の書き手ですね。華麗なリスト、繊細なショパン、重厚なブラームス、そして夢幻的なロベルト・シューマン・・・クララの夫であったその人も。

作品番号23まではピアノ作品しか顔を出さない、といった具合だったほど、ロベルトにとってピアノ曲は創作の本拠であり、回帰点でした。そして、その描く世界は、ピアノがからきし、の私も「せめて<トロイメライ>は弾けるようになりたい」と思って『子供の情景』の楽譜を手にしてしまったほどに誰にでも親しみやすい反面、近付きにくい暗がりをたたえてもいます。(ついでながら、おかげさまで、「トロイメライ」を含む3曲ほどは、当時は弾けるようになりました・・・でも今では手の方ですっかり忘れてしまっています。残念。)

けれども、男性陣のピアノ曲には、やはりどこか「頭脳だけ」で作られた感じがしてならないときがあります。先の「音楽と音楽家」の中に、ロベルト自身の次のような言葉があります。

「作曲をするようになったら、まず頭の中ですっかり作ってしまうこと。そうして、その曲がすっかりできるまで、楽器で弾かないように。」

クララ自身が素晴らしいピアノ作品を残していることは、長い間忘れられていました。
女性作曲家たちが注目を浴びだしたのは1980年代からでしたでしょうか?(お読み下さっている方でご存知のかたがいたしたら、是非ご教示下さい。)
その一環で、クララの作品も、盛んに、とまではいきませんが、ようやく日の目を見るようになりました。
それらを聴くと、
ロマン派、というのは本当は彼女から生まれたんじゃなかろうか
という思いが、大変強くなります。
有名男性陣の有名大規模作品群に比べれば、つつましやかなものばかりです。
ですが、男どもの作品には時々感じる「気負い、こだわり」とは、彼女の作品は一切無縁です。

最終作に付された作品番号が、たしか22あたりだったと思いますが(付記;23まで、とご教示頂きました)、それから察せられる通り、決して作品の数は多くありません(付記:これも私の誤解があります。あとにもご紹介する"A Plaza of Clara Schumann"でご確認頂ければ幸いです)。ですが、どの曲に耳を傾けても、こう感じずにはいられません。

「ああ、クララという人の心の中には、いつもきれいな空気に包まれた深い森があるんだなあ」


ピアノのみの全作品を集めたCDもありましたが、私はヴァイオリンとピアノの二重奏を収録した1枚もののCDを愛聴しています。

"Clara Schuman 10 romances pour piano" CALLIOPE CAL 4211
長調の曲のはずなのに「短調(mineur)」となっているものが2つもあったり、と、標題に関しては怪しいところのあるディスクですけれど、ピアノを弾いているエレーヌ・ボッシは、コルトーとイヴォンヌ・ルフェーブルの衣鉢を継いだ人。ヴァイオリンを弾いているアニー・ジョドゥリィも柔らかい音色の持ち主です。
(残念ですがHMVサイトでもタワーレコードサイトでも見つけられません->ご指摘頂き、廃盤に鳴っていると知りました。スミマセン 。)

お詳しいクララ・シューマンネット、"A Plaza of Clara Schumann"で、作品情報、CD情報、他、是非どなたもお触れになってみて下さい。上記ご指導、ご指摘とこのリンクをお許し下さったサイト管理者のK.I様に心から感謝申し上げます。)



Book

音楽と音楽家


著者:シューマン

販売元:岩波書店

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