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2006年11月 9日 (木)

レヴュー?:NHKの来日オケDVD8タイトル(1)

先月末でNHKエンターテイメントから、来日オーケストラ/名指揮者の映像8種がDVDとして出揃いました。選択にお悩みのかたのために、8種全て、カンタンにレヴューしますので、ご参考にして頂けたら幸いです。


今回は4タイトルをレヴューします。
ウィーンフィルの、ベームとの3回の来日、ショルティとの94年来日に付いてはこちらに綴りました。(ベーム75年関係だけ、前にあまりに細々と綴り過ぎました。よろしければご参照下さい。)

まずは、シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団
1960年5月4日 旧NHKホール
曲目:ベートーヴェン「英雄」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲
Munch1960_1日本、アメリカの両国国家演奏、客席起立。思想的な是非はともかく、舞台と聴衆が一体になって相互に敬意を表する儀礼は、いま、どれくらい残っているでしょう。それにしても、「君が代」のアレンジは現在でも充分斬新で、「ニホンジン、ビックリね!」であります。十八番の「幻想交響曲」ではない、とはいえ、エロイカでもダフニスでも、ミュンシュのキビキビしつつも厳しいアクションは冴え渡っています。ボストン響の音が現在より柔らかいかな、と感じるのは、フランスの耳を持つミュンシュから受けた薫陶ならでは、かも知れません。ドイツ系オケとはひと味違う、メリハリの利いた「エロイカ」。クリュイタンスやマルティノンと、やはり同じ血が通っているなあ、と感じさせられるラヴェル。そのあたりが、これを視聴してみようかどうかを決めるポイントになるでしょうか。

続いて、カラヤンが2種あります。
ベルリンフィル 1957年11月3日 旧NHKホール
曲目:ワーグナー「マイスタージンガー」前奏曲
R.シュトラウス「ドン・ファン」、ベートーヴェン第5
(特典映像有り)
Karajan1957カラヤンは1954年に単身来日し、N響を振って14回もの公演を行っており、うち4月21日に演奏したチャイコフスキー<悲愴>がCDになっています。彼がベルリンフィルを掌握したのは、極東でのこの激務の直後でした。このころから徐々に自己をカリスマとして演出し始めた彼も、60年あたりまでは周囲に気さくな笑顔を見せることがずいぶんあったと聞いています。ベルリンフィルとの初来日公演は、先々オハコとなる(、いや、当時既にオハコだった)ワーグナー、R.シュトラウスの演出に卓越した演出をほどこしています。テンポの緩急をオケまかせにするよう装いながら全体像はしっかり締める、クレッシェンド・ディミヌエンドのタイミングはスコアの指示より幅を広めにとる。・・・「第5」も、カラヤン風ベートーヴェンカラーが出来上がってしまっています。「きれいすぎる」と思われるでしょうか? それが、彼の音楽観、価値観だったのかもしれません。映像には含まれていませんが、同じベルリンフィルで残したモーツァルトの交響曲録音をベームの全集録音と聴き比べるなどすると、カラヤンの審美感覚とはこういうものか、というのが、何とはなしに伝わってきます。ご興味があったらお試し下さい。

ウィーンフィル 1959年11月27日 旧NHKホール ブラームス1番
ウィーンフィル 1959年11月6日  日比谷公会堂  ブラームス4番
(演奏の一部が静止画像。特典映像有り)
Karajan1959このブラームス、べつにカラヤンファンでもなんでもない私ですが、とくに1番のほうは正直言ってたいへんビックリしました。先のベルリンフィルでワーグナーやシュトラウスに施した、同じ方針での演出をしていますが、非常に効果的です(指揮の内容にウソやごまかしが全く見つけられませんでしたし)。騙されたと思ってご視聴下さい・・・ホントに「騙し」かも知れませんヨ。でも「騙しじゃないですぅ!」と言えるのは、この映像でのカラヤン、確かにエレガントだし、指揮の最中にニッコリする笑顔がとてもいい、ということ。こんな映像、これしかないんじゃないでしょうか?

今回最後は、ゲオルク・ショルティ/ロンドン交響楽団
1963年4月29日 東京文化会館
曲目:ベートーヴェン第4、ワーグナー「ローエングリン」3幕前奏曲
   ブラームス「ハンガリー舞曲第5番」
Solti1963タスキ(ラベル)に「ネビル・マリナーの若き姿を収録!」ってあるんですけどね・・・嘘じゃないんですけど・・・マリナーは時々画面の端っこに、ちっちゃく映るだけなんです。。。カワイソウ。彼は当時ロンドン交響楽団のセカンドヴァイオリン首席でした。他に私が名前を見て分かる有名メンバーは、ホルンのバリバリ・タックル(え?タックウェル、なんですか!)、アラン・シヴィルくらいなものですが・・・ヴァイオリン弾きがなんでホルン吹きの名前を覚えているのかも謎ですが・・・他の楽器も名手ぞろいとお見受け致しました。ショルティというと、シカゴ響に行ってからの烈しい四角振りのイメージが強く、その時聴いたモーツァルトも「シカク、シカク」っぽくて、資格取得に縁のない私には近づきにくい存在でした。しかし、63年のショルティは、まだ「四角」が完成され切っておらず(褒め言葉なんです!)、彼特有の起伏の激しい演出好みこそ随所にあるものの、全体としてはシカゴ時代からは想像もつかないほど輪郭の丸い演奏です。・・・これが、94年のウィーンフィルとの共演ではいっそう素晴らしい響きとなって聴かせてもらえますから、ショルティを再評価なさりたい方は、63年のこの映像と94年映像を、是非両方ご覧になって下さい。

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シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 1960年日本特別演奏会
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年日本特別演奏会
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1959年日本特別演奏会
ゲオルグ・ショルティ/ロンドン交響楽団 1963年日本公演

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受信: 2006年12月 8日 (金) 21時48分

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