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2006年10月12日 (木)

シューマンを聴こう:まずは交響曲

Sinopolischmann

没後150年のシューマンですが、日本ではあまり騒がれませんね。ドイツのサイトでは稀に名前が出ていますが、あとはパリ管のサイトで見かけたくらいで、知る限りではアメリカでも出てきません。モーツァルトとショスタコーヴィチに完全に食われている感じです。他の各国ではどうなのでしょうか?
ただ、シューマンは4年後には生誕200年を迎えます。46歳の若さで亡くなっているからです。ですので、2010年には大々的に注目を浴びる・・・かも知れません。そうあって欲しいな、と思う今日この頃です。

彼はクララとの大恋愛や、ブラームスを見いだしたことで有名です。優れた評論家で、カントなどの哲学に造詣の深い人でもありました。そのくせ、作品は決して理屈っぽくなく、特にピアノ曲では夢幻的な世界を築き上げています。
思弁的な理性の持ち主でありながら、無邪気な憧れに生涯身を焦がしたせいでしょうか、早くに精神を病み、ライン川に投身自殺を図り、2年後に精神病院で逝去するという悲劇的な結末を招くこととなりました。その創作世界にも精神錯乱の影が取りざたされています。
ですが、錯乱の一例として挙げられる「森の情景」の、独特な暗い豊かさ(「予言の鳥」など)にも、他の作曲家にはない強烈な魅力がありますし、これも含めピアノ曲の楽譜は単なる音符の線に留まらない、どこか文学書的、あるいは絵画的な香りが漂う不思議な顔をしてさえいます。

交響曲のスコアも例外ではありません。読んでいると、たくさんの色が浮かんでくるのです。
ところが、実際の演奏を聴いたり、あるいは自分が一員となって鳴らしてみたりしても、イメージ通りの色が、なかなか浮かんでこない。かなり優秀な音楽家たちでもそうなんでしょうね、シューマンの交響曲は、くすんだ色しか持たない、とまで悪口を言われています。
「オーケストレーションがつたないせいだ」
・・・そんなわけで、マーラーがオーケストレーションをやり直したりしていて、マーラー版によるCD も最近出ています。

本当に、シューマンのオーケストレーションは拙いでしょうか?

シュターツカペレ・ドレスデンの演奏でシューマンの交響曲全集2種類を聴きました。録音場所はいずれも同じ、ドレスデンの聖ルカ教会です。

ひとつはヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮で1972年に録音されたもの(リンクでみつけられませんでしたが、同じEMIなので。日本盤はTOCE-13565-56)。サヴァリッシュ氏らしい硬質で鋭角なディレクターぶりです。
もうひとつはジュセッペ・シノーポリ指揮で1992年から93年にかけて録音されたもの。早い晩年にR.シュトラウスのオペラで鮮やかな監督ぶりを発揮したシノーポリらしく、テンポは決して遅くないにも関わらず、恰幅のいい響きを導きだしています。(リンク先で試聴できます。)
20年を隔てた、表面はスタイルも違う演奏ですが、2種ともこれまで私が聴いたことのあるどんなシューマンよりも管楽器がよく鳴っており、結果としてスコアから感じられる色彩が比較的イメージ通りに見て取れるものとなっています。

シューマンの交響曲は、決してセピア色ではない。

光の3原色なら重なれば明るくなりますけれど、絵の具で3色混ぜたらくすみますね。
シューマンの音世界は、それが演奏者の手の中で光になるか絵の具になるか、それ次第で浮かび上がってくる色彩が両極端に変わるというのが真実なのではなかろうか、と、最近ではそんな気がするのです。

先日たまたま耳にした、準.メルクル指揮NHK交響楽団の「第1番<春>」・・・第2楽章の途中から偶然耳に入ったのですが、これがあまりにベルリオーズと似た音色なのに仰天しました。ドイツのオーケストラに比べて優しく柔らかく聴き手をつつむ演奏でしたし、あとで別途スタジオ録音したとのことなので、CDが出るのを期待しています。その他にクリュイタンスがベルリンフィルとパリ音楽院管弦楽団を指揮したシューマン2曲もCDが出ていますので、そちらも聴きたいな、と思っています。
外国人ならではの、ドイツとは違って硬派ではない響きの方が、あるいはシューマン本来の色が浮かび上がるのではなかろうか、という期待があるものですから。

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