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2006年9月10日 (日)

Snostakovich:「西側」の第5

ロシアの演奏ばかり採り上げてきました。そちらも「完璧」ではありません。テミルカーノフは昔のライヴは一聴の価値がありそうですし。他は是非、ふるたこさんのページを参考になさって下さい。
ですが、TMFの方向けには一旦切り上げ、「エロイカ」・「モルダウ」・「白鳥の湖」に話題を変えなければなりません。

CDをお探しの方の参考に、ここで<第5>の1980年代までの「西側」演奏を概観しておきます。
合わせて、1973年来日時のムラヴィンスキーの録音についてもひと言触れておきましょう。

「西側」について、いまのところ確認してみたのは6つほどの演奏ですが、1000円程度で買えるもののみリストしますと、
バーンスタイン/ニューヨークフィル(1959年)SONY SRCR1625
プレヴィン/ロンドン交響楽団(1965年) RCA 82876 55493 2(輸入盤)
ハイティンク/ロイヤルコンセルトヘボウ(1979年) DECCA UCCD-7040
・インバル/フランクフルト放送響(1988年) DENON COCO-70407:在庫のみか?

この価格帯では、他にEMIから出ているムーティのものをよく見かけますが、私は未聴です。
(上記のバーンスタイン盤は、評判の日本公演ライヴではありませんので、ご注意下さい。)

いわゆる「西側」のショスタコーヴィチ演奏は、第5に関しては一般にロシア系の演奏に比べて
・透明度が高い
・メトロノーム記号への忠実度が高い
のが特徴で、バーンスタイン盤を除けば、オーケストラの個性の違い以外に大きな差はありません。

ロンドン響(歴史・HP)は、イギリスのオケらしく律儀な音です。プレヴィン(経歴)はラフマニノフの交響曲第2番をいちはやく省略なしで採り上げた人で、ロシア物のロマン的側面へ切り込むのが得意な人です。その分、ショスタコーヴィチ演奏では軽いかなあ、と感じる向きも多いかもしれません。

*フランクフルト放送響は、ときに弦のヴィブラートが過剰で、透き通った水面にいつもさざ波が立っているという印象です。しかし、インバル(経歴)は、彼がロマンは作品の指揮の際に時折見せてしまう奇矯さもなく、手堅い感得ぶりを示しており、悪くない演奏です。

*西ヨーロッパ陣で特筆すべきは、やはりハイティンク(経歴)だろうと感じました。ショスタコーヴィチの交響曲全集を「西側」としては最初に完成させただけのことはあり、スコアの読みの深さはダントツです。
「第1楽章をメトロノーム記号通りの速度でやるとこうなるんだ」
なんてことを確認したければ上の2つでもいいのですが、ハイティンクは遅めのところはさらに遅く、早めのところも丁寧に演奏させています。主観を控えて正確なアンサンブルを実現するコンセルトゲボウ(歴史)の特質がよく発揮されています。

バーンスタイン(公式サイト)だけは、全く独自の解釈です。1959年はショスタコーヴィチがバーンスタインの演奏を聴いて褒めちぎった年ですけれど、上記はその年のスタジオ録音です。ロシア陣やヨーロッパ陣とバーンスタイン(生涯)の大きな違いは、スコアの読み方です。記譜上の指示は、バーンスタインの場合、取り組み始めるときにまず、全て一旦「チャラ」にしてしまっているようです。その上で、音楽のフレーズを読みなおす。その結果、仕上がりは音楽の段落がスコアの指示とは一切関係なく浮かび上がる、巧妙なものとなっています。・・・これは、作曲者自身が仰天し、感激したとしてもおかしくないやり方です。作品の中の「眠っていた豊かな表情」を呼び起こすのに成功しているのですから。そういう意味では、日本ライヴよりこちらのスタジオ録音の方が面白い気がします。

さて、ムラヴィンスキー。
ふるたこさんや、その掲示板に寄せられるいろんな方のお話からすると、ベストは82年の演奏のようですが、探してもなかなか見つからないでしょう。製造元では今は再プレスしていないようです。
次善が73年日本公演盤ということになります。・・・これが、以前採り上げた、同年のリハーサル時の映像(11月再発行予定)・録音に比べても遥かに緊迫感が高く(この時と79年のライヴは他の録音でも非常に締まった雰囲気がよく伝わってくる名録音です)、かつ、
「どうしてこういう演奏が出来たか」
前に綴りました通りリハーサルの録音が残っているので、たどることも可能であり、作品を研究するには最適、聴いて損をしない演奏だと思います。大きめのCD屋さんでは千円以上安くなっていますからお買い時です。でも、未だに人気が高く、店に入荷しても即日売り切れる状況です。Webからの購入をお薦めします。

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