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2006年9月11日 (月)

Mozart:1772年のカノン

モーツァルトが死んでだいぶ後、ロッシーニがウィーンを訪問した際、妻に先立たれ、娘に冷たくあしらわれて寂しい老後を送っていたサリエリが、彼の滞在先を毎日のように訪ねてはカノンを作りまくって楽しんでいた、という話があります。
このときロッシーニ(参考リンク:日本ロッシーニ協会)はサリエリに質問しました。
「あなたは本当にモーツァルトを殺したんですか?」
しばらく黙って後、サリエリは答えたそうです。
「私の顔をしっかり見てくれ。人殺しに見えるかい?」
(水谷彰良「サリエーリ」256ページ参照)

それはともかく。

前回採り上げた「4つのキリエ」(ブログ内記事)のうちの1作もカノンでしたが、他にケッヘル番号を持つカノンが3セット、1772年に作られているようです。うち、第6版でK.73xを与えられている作品は、コンラートの表には出てくるものの、NMAには記載されていません。
4声のカノンK.73iと、4つのカノンK.73rは、NMA編纂時には、ヴォルフガングが対位法の師である1770年にマルティーニ神父へ課題として提出したもの、と考えられていました。どういう経緯で1772年の作とされたかについては、すみませんが、私には分かりませんでした。
以下、楽譜を掲げますので、それぞれ解読してみて下さい(楽譜が斜めになったり恥が切れていて済みません)。。。と言いつつ、私も最初からこんな楽譜だけ見せられても解答は出せません。ヒントを加えます。お手隙のときに五線譜に書いてみると、勉強になります!
(楽譜はそれぞれクリックすると拡大します。)

・K.73i(ソプラノ4声になります。「2.」とあるところから次の声部が始まります。)
Mozart_k73i

・K.73r
1)ソプラノ3声です。4小節目から2つ目の声部が入ります。
Mozart_k73r1

2)1小節ごとに次の声部が入ります。何声までいけるでしょう?
Mozart_k73r2

3)上2行のバスパートは次の小節の1拍半目からソプラノに5度移調して入ります。
  下2行はアルトパートだけが歌います。
Mozart_k73r3

4)3声のソプラノと3声のテノールのカノンとなります。
  上の1行のテーマはソプラノ声部のみ、
  下の1行のテーマはテノールのパートのみで歌われます。
  次の声部の入りは1小節後からです(ここまで言えば解けます!)
Mozart_k73r4

カノンは、m小節後に応答が始まる場合、N声部からなるときには、m×N小節先までを見越して作らなければなりませんから、以上のカノンを解いてみることによって、16歳のモーツァルトの技量がどの程度のものだったかを身を以て知ることが出来ます。
お試し下さい!



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