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2006年8月31日 (木)

モーツァルトだけじゃイヤー(寒!):声楽篇

ホントにお寒いお題で申し訳ございません。m(_ _)m

モーツァルト・イヤーだからって、モーツァルトだけ注目されるのはどうか、と、いちばん対抗意識を燃やしているのはショスタコファンだと思いますが、記念年という意味ではシューマンなどもそうですのに、いっこうに騒がれません。・・・でも、「傍系」には走りません! シューマン君、許せ!

記念年向けに出されたCDには、モーツァルトと同時代の作曲家の曲を併録したものも出ていましたが、大変いいことだと思います。録音技術の発展は音楽にとって最大の福音です。モーツァルトの陰に埋もれた人たちにも、少しずつですが、光が当たるようになってきました。
そうした中から、私が聴くことの出来たものを採り上げてみます。ご興味を持って頂けたり、
「こういうのもあるよ」
という情報を頂けたら幸いです。

今回は声楽作品、それもモーツァルトに影響を与えた人たちのものをピック・アップしました。
サリエリについては機会を見て別途採り上げます。

1)ハッセ
CANTATE "L'ARMONICA" - SYMPHONIE(sol mineur) - CANTATE "LA GELOSIA"
メタスタジオのテキストに基づくカンタータ2作と、小さなト短調のシンフォニーです。
カンタータ2作は1769年の作。ハッセがモーツァルトの「アルバのアスカーニョ」と競作し、オペラの筆を断つことになる2年前の作品です。2作ともレシタティーヴォとアリアが2セットずつの25分ほどのものですが、メタスタジオの詞に音楽を付けたもので聴くにたえるのはこの長さまでかな、という感じです。歌詞内容に即した起伏の付け方は見事で、信仰圏は異なりますが、大バッハの世俗カンタータを彷彿とさせる作風です。とくに最初の「アルモニア」はグラスハーモニカの早い作例のひとつでもあり、タイトルにふさわしい、響きの美しいカンタータです。
ト短調のシンフォニアはコレルリを10分の1軽くし、ヴィバルディのトゲを抜いた、という風情のものです。ハッセが、ドイツ人でありながらイタリア・バロックの正統的後継者だったことを明確に示す作品であり、同時に、18世紀後半には彼の音楽が「古い」といわれてしまったこともうなずけます。

2)クリスチャン・バッハ
ENDIMIONE
1772年作の、2幕のセレナータ。やはりメタスタジオの台本に基づくものですが、改変してあるそうです。クリスチャンを尊敬していたモーツァルトが「アルバのアスカーニョ」を作った、その翌年の作品。先輩としての貫禄を示した、まとまりのよいセレナータです。レシタティーヴォはアコンパニャートを主とし、アリアも長めのものは2つだけ。合唱も豊富に挟み込んで、神話の世界を非常に美しく響かせます。

La CLemenza di Scipione
シピオーネの慈悲。モーツァルトの「シピオーネの夢」は小スキピオが主人公でしたが、こちらは大スキピオのスペイン遠征を舞台にした作品です。ただし、内容は史実には遠いものです。当時の典型的なオペラ・セリアで、拘留されても反抗するイベリアの王が死刑となるはずの土壇場でスキピオの慈悲に救われる、という筋です。モーツァルトが最後の年に曲を付けた、メタスタジオの「ティト帝の慈悲」も同じようなストーリーですね。この時代の人たちが、似たようなストーリーによくも飽きなかったものだ、と思います。音楽は大団円を序曲のテーマで締めくくるという、当時としては斬新なもので、4年後に死を迎えたクリスチャンの才能を惜しませるに足るものです。

3)グルック
IPHIGENIE IN AULIS(Wagner編曲版)
ワーグナーはオペラ改革者としてのグルックを過大評価したと言われていますが、なかなかどうして、聴かずにグルックの悪口を言うわけにはいかないと思いました。それと知らずに買ってしまったワーグナー編曲版で聴きましたが、グルックの原型は充分とどめているはずです。重厚な序曲は、ちょっと前まではジュニアオーケストラ等でよく演奏されたものでしたが、最近は聴かなくなりました。序曲だけでも再評価されていいのではないでしょうか?

Orfeo ed Euridice
グルックの作品の中では最もCD・DVDが多く出ており、上演機会も多い作品ですね。
オペラは新演出が多数を占めるようになり、私の見た映像もそうした中のひとつです。ジーンズ姿でエレキギターを持ったオルフェオには仰天しましたが、地獄へ迎えに来られたエウリディーチェが「何故私を見ないの?」とオルフェオを疑うクライマックスの場面などは一見に値します。ただ、最初の場面は客席をコンサート会場に見立てるという現代劇の代表的な演出技法によっています。この演出は大変難しいのですが、この映像でも成功しているとは言いがたいと思います。オルフェオを歌っているコヴァルスキーはテノールからソプラノの音域までこなす人だそうで、映像中ではアルトないしソプラノの音域を歌っていますが、往年のカストラートもさぞや、と思わせる素晴らしい歌唱力です。

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