« 「音」という漢字 | トップページ | ルヴィエ「オーケストラ」 »

2006年8月18日 (金)

秋の声

さっき、東北の帰省先から戻ってきました。
むこうも昼の気温は30度を超えていましたが、夜は心地よい涼しさでした。
関東に戻ってみると相変わらず蒸していて、辟易しました。出かける前はおとなしかったセミが、
「待ってました」とばかりに騒ぎ放題です。

サトでは、夜になると、自分や家内の実家の前で、ぼーっと煙草を吸いながら、向かいの空き地の植え込みや草むらで鳴く虫の声に聞き入っていました。

私の実家は仙台で、こちらは昔から「ウマオイ」が多いのです。俗にスイッチョン、と呼ばれる奴です。声は、かなり大きいので、娘は
「うるさくて眠れない」
とおかんむりでした。

家内のほうは青森ですが、こちらではコオロギが
「ろろろろろろろろろろろろ・・・」
と盛んに、いい声で歌っていました。右からも左からも、前も後ろも問わず、頭の上からも、コオロギの声に包まれてしまったようでした。

正確には、この
「ろろろ・・・」
の声には、どうも母音が含まれていないようです。聞いていて、そんな発見をしました。
かといって、
「rrrrrrrrrrrrrrrr・・・」
というr音の連続でもない。
「正体やいかに」
と懸命に耳を傾けていると、車が1台通りすぎました。
それでコオロギが鳴き止んだわけではないのですが、車が通りすぎるまで、あれだけ自分をすっぽり包んでいてくれた心地よい響きが、まったく消え去ってしまったのには驚きました。
いくらにぎやかに聞こえても、数十匹、いえ、数百匹のコオロギの歌は、車1台の走行音にも及ばない大きさに過ぎないのでした。
音楽のディナミークでいうとメゾピアノくらいかと思いましたが、すると車1台は優にフォルテシモの騒音を放つことになるのでしょう。

自然の音は、人工音よりはるかにデリケートです。
しかもまだまだ、無限の神秘にすっぽり包まれているんだという気がします。

さて、関東の我家のほうには、これからどんな「秋の声」が訪れてくれるんでしょうか?
じっと耳をすまさなければいけません。
耳を澄ます甲斐のある環境が僅かでも残っているなら、それを大事にして行かなければなりません。

|

« 「音」という漢字 | トップページ | ルヴィエ「オーケストラ」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95716/3111955

この記事へのトラックバック一覧です: 秋の声:

« 「音」という漢字 | トップページ | ルヴィエ「オーケストラ」 »