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2006年8月30日 (水)

Mozart:アリアとディヴェルティメント(K.74b,K.113)


1771年のモーツァルトは、ソプラノ用アリア1曲、ディヴェルティメント1曲をも、いずれもイタリアで作っています。とくにディヴェルティメント(第1番)は、彼が初めてクラリネットを使った作品として注目されます。これらの作品は、いずれも佳品と言ってよいでしょう。
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K74bのアリア「私は気にとめない(Non curo L'affetto、ホ長調)」はメタスタジオの「デモフォオンテ」I,7に基づく2連のテキストの1連目だけを用いたというコンパクトなもので、演奏時間も4分ほどです。1771年の初めにパヴィアかミラノで作曲されたと考えられていますが、作曲の目的は分かっていません。時期的には『ポントの王ミトリダーテ』が成功裡に終わった直後にあたります。ダ=カーポアリアの、最初に戻る部分を短縮してあるのは、<ベトゥーリア><アスカーニョ>を含む一連の劇作品と共通するところです。美しいアリアですが、録音は少ないそうです。
伴奏オーケストラは2本ずつのオーボエとホルンに弦楽器、使用した歌詞は次に示す通りです。

Non curo L'affetto d'un timido amante
che serbanel petto si poco valor,

この2行を、ホ短調に転じる中間部でも使用しています。旋律は前古典派的な、しかし若々しいもので、前半部は4度上昇しなだらかに加工する音型で始まり、中間部は4度、3度の上昇から7度下降、と切り落とすような音型をpで歌う「耐える嘆き節」になっているところが興味深く思われます。
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K.113のディヴェルティメント変ホ長調は、冒頭に述べた通り、彼が初めてクラリネットを用いた作品で、第1、第2(おそらく翌々1773年初の改変)稿が存在します。クラリネットを用いることが出来た事自体、この作品がイタリアで生まれたことを現わしており、オーボエ、イングリッシュホルン、ファゴットを追加した第2稿も、とくにイングリッシュホルンの使用が、やはりイタリアでの上演を反映しています。第2稿の演奏は耳にしていませんが、オーボエはクラリネットを、イングリッシュホルンはホルンを、ファゴットは弦楽器の低音部をなぞるのが主な使用法となっており、第2稿の方が幾分部厚めで透明度の低い響きがするものと推測されます。それを反映してか、録音で第2稿のものは今のところ私には見いだすことが出来ません。第1稿は11月22日か23日に手掛けられたかと推定され(ウィゼワ、サンフォア)ます。曲は
1.Allegro(70小節)
2.Andante(36小節)
3.MENUETTO(16+16小節)
4.Allegro(128小節、速度記号はレオポルドによる付加)
から成っており、作品の雰囲気は第1稿は特に少し大人びたかげりを見せ、すくなくとも翌1772年の「ザルツブルク・シンフォニーK.136〜138」を予見させます。
こちらは名物コンサートマスターだったヘッツェルさんを含めたウィーン・フィル団員たちによる名演奏も廉価なCDで聴くことが出来ます。

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