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2006年7月29日 (土)

モーツァルト第1回イタリア旅行(4)Mozart:1770年の他の作品

(1)宗教曲: K.85, K.86
(2)舞曲 : K.123(73g), K122, K.104(61e), K.94
(3)弦楽四重奏曲(第1番)K.80
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(1)宗教曲 : K.85, K.86

"Miserere for Alt,Tenor,Bass and Organ"K.85をお聴きになると、ビックリなさるかも知れません。
「これって本当にヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品なんでございますの??」
「もちろんでございます!」
「まるでルネサンス期にタイムスリップしたようでございますわ!」
「その通りでございます!」

ヴォルフガング がシスティナ礼拝堂で門外不出だったアレグリの "Miserere"を聴き、あとで記憶だけでそのスコアを書き上げてしまった、というのは有名な逸話です。
ヴォルフガングの"Miserere K.85"は8月 ...このエピソードの4 ヶ月後に作曲されています。
この厳格な作品は7つの部分からなっています :Miserere-Tibi soli-Ecce enim-Auditi-Cor mundum-Redde mihi laetiam-Libera me
アレグリの"Miserere",と比較してみると、the sections ヴォルフガングが選んだ部分は一つ飛ばしずつになっています。このことは、K.86の件も考え合わせると、ヴォルフガングは、聴き取ったアレグリの"Miserere"につきマルティーニ師に正否の伺いを立てたのではなかろうか、と推測させます。それに対しマルティーニ師が親切にも様々な示唆をし、その他に対位法の豊富な知識を伝授したことを省みて、 ヴォルフガング はアレグリと同じ素材で自分の力を注げる限りの部分を選択し、復習をしたのではないかと、私にはそう感じられるのです。
K.86はボローニャのアカデミア・フィラルモニカ入会試験でのヴォルフガングの答案です。これについてはマルティーニの模範解答も併せて今日に残されています。

CD:"Complete Mozart Edition 11, Litanies,Vespers,Oratorios,Cantatas,Masonic Music", Philips 464 870-2
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(2)舞曲

このころのヴォルフガングの手紙から、当時イタリアの人々にメヌエット舞踊が流行していたことが分かります。
ヴォルフガングもイタリアの人々のためにいくつかの舞曲を作曲しています。音楽は交響曲などに比べればいかにも気楽、という感じで、面白いと思うかどうかは楽譜を読む人、あるいは演奏を聞く人次第でしょう。

Contredance in B K.123(73G)-2Ob,2Hr,2Vn,Vc e Basso
Menuett in Es K.122(73t)
6 Menuette K.104(61e)-2Hr,2Trp,2Vn,Vc e Basso
* K.104 はSalzburg で1771年か1772年に書かれたものかも知れません。

K.94は大譜表で残されていますが、音域から言ってオーケストラ用のスケッチかと思われます。

CD:"Complete Mozart Edition 2, Serenades,Dances,Marches", Philips 464 780-2
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(3)弦楽四重奏曲第1番K.80

このヴォルフガング初の弦楽四重奏曲は3月15日に作曲されています。この日の彼の宿泊先がミラノ近郊のローディという町だったことから、「ローディ四重奏曲」との愛称を持ちます。(ただし、作曲地については異説もあります。)
第1楽章は美しいAdagio(3/4,67bars).
第2楽章はAllegro(4/4,84bars).
第3楽章はMINUETTO(not MEUET or MENUETTO) and Trio.
フィナーレはRONDEAU, Allegro(2/2,99bars)
すべての楽章がト長調で、響きも交響曲的です。なかなかいい曲ですヨ。

CD:"Mozart Early string quartets" CUARTETO CASALS HMI987060.62

付記:この時期に単独で弦楽四重奏が書かれていること、全楽章が同じ調であることの意味については、海老澤敏「超越の響き(モーツァルトの作品世界)」231頁以降をお読み下さい。彼の前期の弦楽四重奏創作に関する適切な考察は、非常に興味深く、新鮮です。



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著者:海老沢 敏

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コメント

K80も神童時代の作品として注目に値する音楽ですね。
結構隠れファンの方もいらっしゃるようです。
この曲の魅力を決定付けているのは、
なんといってもアダージョ楽章。
アレグロの第二楽章もなかなかいいですけど、
あのアダージョ冒頭の美しさには敵いませんね。
モーツァルト本人が愛着を持って、
後年、第四楽章を書き加えたのも分かるような気がします。

投稿: Bunchou | 2008年7月23日 (水) 20時29分

この記事綴った頃は、まだあんまり中身に突っ込んでませんね.
K.80はカルテットの訓練の初期によくやらされたのですが、2番以降とは作りが違うので案外理解が難しく、苦しまされた作品です.・・・聴いている分には素晴らしいのですけれど、純粋にイタリア様式だ、しかもシンフォニアの変形的な応用だ、ということが分からないと、弾く時に非常に辛いです、ハイ。
今はちょっと、普段のメンバーでは一緒にやりたくないな。安易に考えられてしまいそうで、時分だって出来やしないのに、思わず怒っちゃったりしそうで、怖いです。。。

投稿: ken | 2008年7月23日 (水) 22時47分

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