« モーツァルト伝いくつか | トップページ | モーツァルト一家ウィーンへ(3) »

2006年7月12日 (水)

モーツァルト一家ウィーンへ(4)

"ショスタコーヴィチ5初見ポイント"を見るには, ここをクリックして下さい .
"第43回TMF定期演奏会反省"を見るには, ここを クリックして下さい.

Symphonies  K.76,K.43,K.45,K.Anh.214,K.48

これらの交響曲はウィーンの人々の趣味に合わせて4 楽章構成となりました。

U.Konlad博士の "Mozalt-Werkverzeichnis", によれば各曲の制作時期は次のとおり:

K.76(42a) F dur : 1767年 秋 (ウィーン?)
K.43 F Dur : 1767年10月〜12月 (オルミュッツ と ウィーン)
K.45 D Dur : 1768年1月16日(ウィーン)
K.Anh.214(45b) B Dur : 1768年のあいだ(ウィーン?)
K.48 D Dur : 1768年12月13日(ウィーン)

ウィーンの人々がなぜ4楽章形式の交響曲を好んだのかは分かりません. ドイツの伝統的な組曲がイタリア風シンフォニアと合体した結果4楽章になったのをドイツ人が誇りにしていたからだ、という推測もあります. ドイツ、と広く構えてしまうには、4楽章制交響曲の初期作曲家はMonn, Wagenseil, Vanhall,といった人々で,大半がオーストリア圏の人物です.
一方で, モーツァルトもオーストリア人ですが,彼は何故 1767年の終りまで4楽章制交響曲を作らなかったのでしょう? その答えはおそらく, 彼はザルツブルク生まれだったからでしょうか.ザルツブルクはローマと密接に関わっていましたし,イタリア文化にも深く感化されていたと思われますから.

当時のコンサートで交響曲がどのように演奏されたのかも,しっかりとは分かっていません.一般論では,まずコンサートのオープニングに交響曲の第3楽章までが演奏され, 演奏会の最後になってのこったフィナーレだけが演奏された、というのです. けれども海老澤敏教授は著書 "Klaengre der Transzendenz "の中で「交響曲がコンサートの始めに全曲演奏され、コンサートの終りで再び同じ交響曲のフィナーレが演奏された、という可能性も否定しきれない」と、ある学生さんからの質問を引き合いにして述べています。

ともあれ、ヴォルフガングはこれらの交響曲で管楽器の取り扱いに進歩を見せています.

K.76第1楽章の17-18小節ではオーボエが自立して動きます. 57-58小節になるとホルンも仲間に加わります. 次の楽章ではファゴットだけが"オレたちもだ!" と自己主張します(18-19,30,47-48小節).此交響曲のメヌエットがフォークダンス用の曲のように響くのも面白い特徴です.(海老澤氏著「超越の響き」の作品表には非掲載となっており、西川氏著「モーツァルト(音楽之友社)の作品表では<疑作>となっていますが、2005年のコンラートのリストではとくにそうした扱いはされていません。)

K.43第2楽章は"Appllo et Hyacinthus"K.38でMeliaとその父Oebalosが歌う二重唱を編曲したものです . フルート2本を加えることで、ふうわりとした雰囲気作りを見事に成功させています.

K.45 は第3楽章のメヌエットをのぞき, "La finta semplice"K.51の序曲に転用されますが,交響曲オリジナルでは使っていたトランペットとティンパニを2ほんのフルートに取り換えてしまっています。・・・でも、大勢に影響なし、というのがトランペットとティンパニにとっては切ないかも知れません。

K.Anh.214 (トランペットを使っていない)は、落ち着いて聴けるかわり、際立った特徴のほとんどない作品ですが, 二本のオーボエがあたかもトランペットのように輝かしく響くのが効果的です。この曲を演奏する方は充分ご留意下さい。
(7月15日追記)大事なこと?が抜けていました。
この交響曲の第1楽章には、K.16に引き続き、ジュピター終楽章の例の「ドレファミ」のテーマがチェロ・バスに出てきます。これがヴァイオリンの奏でる第2主題の対旋律としておおらかに歌われるところに、ヴォルフガングのセンスアップ振りを強く感じます。

K.48はこれら5作品の中でもっとも輝かしい交響曲です.楽想は大人が練ったものに匹敵するか,それ以上かも知れません.

K.76(42a) : 2Ob,2Fg,2Hr,Strings
1. Allegro maestoso
2. Andante
3. Menuetto and Trio
4. Allegro

K.43 : 2Ob/Fl,2Fg,2Hr,Strings
1. Allegro
2. Andante
3. Menuetto and Trio
4. Allegro


K.45 : 2Ob,2Hr,2Trp,Pk,Strings
1. Molto allegro
2. Andante
3. Menuetto and Trio
4. Molto allegro

K.Anh.214(45b) : 2Ob,2Fg,2Hr,Strings
1. Allegro
2. Andante
3. Menuetto and Trio
4. Allegro

K.48 : 2Ob,2Hr,2Trp,Pk,Strings
1. Allegro
2. Andante
3. Menuetto and Trio
4. Molto allegro

------------------------------------------------------------------
ウィーン 1767-68 での他の作品については簡単にコメントします。

K.44 : 偽作(Antiphon"Cibavit eos" by Stadelmayr)
K46d & 46e : Sonatas for violin and Violoncello (Sptember 1768,ウィーン)
K.47b : "Grosses Ofertorium",失われたか K.117と同一作品
K.52 : 偽作("Daphne, deine Rosenwangen", a song arranged from K.50 by L.Mozart)

|

« モーツァルト伝いくつか | トップページ | モーツァルト一家ウィーンへ(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95716/2616689

この記事へのトラックバック一覧です: モーツァルト一家ウィーンへ(4):

« モーツァルト伝いくつか | トップページ | モーツァルト一家ウィーンへ(3) »