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2006年7月12日 (水)

モーツァルト一家ウィーンへ(3)

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すばらしい宗教音楽(K.47,K.49,K117 amd K139)

"La finta semplice" ウィーン上演には失敗しましたが, モーツァルト一家は Waisenhauskirche(孤児院教会)の付属聖堂の献堂式に招かれます.,ここでヴォルフガングは自作を幾つか披露し、臨席した皇帝の称賛を受けました(Dr.Deutsch & Dr.Eibl "Mozart. Documente seines Lebens Dec.10 1768参照。邦訳あり).

このときはヴォルフガング自身が指揮に当たったようです...トランペット協奏曲, 奉献唱と荘厳ミサ曲がそれらの作品です.
トランペット協奏曲は紛失しましたが, 他の2作は、いまでは「ほぼ確実に K.117とK.139ではないか」と信じられています.(ヴォルフガングの自筆譜の用紙から判断されたことです.しかし K.139自筆譜と同じ用紙は1768 年から翌1769年まで使われているため,ほんとうに「確実」とは断言できません. )

オッフェルトリウム"Benedictus sit Deus" K.117 は「交響曲的」な作品です.
第1部は "合唱", Allegro[4/4], C dur.
第2部はソプラノのアリア, Andante[2/4], F dur.
最終部は再び,"合唱", Allegro[4/4], C dur.
調の連携具合が1766年以前のヴォルフガングのイタリア風シンフォニア(Tonica-Subdominanto-Tonica)と同じなのです.
それでも音楽の雰囲気はどの先行作品よりも輝かしいものです. これはトランペットとティンパニの使い方の習熟、弦楽器の機動性の高まりによるものです.加えて, 最終部はシンフォニー類のように軽々しくはなく、荘厳な雰囲気を保っています.
注目すべきは、第1部の10-13, 18-19,31-38 , 40-42 小節目でヴォルフガングがカノンの技法を使っていることです.

Missa in c moll "Waisenhausensmesse(孤児院ミサ)" は彼の最初の荘厳ミサ曲であり、かつ彼の最も有名な宗教曲の一つです.曲の構成は"ナポリ風様式"によるそうですが,私は "ナポリ風様式"ってどんなものなのか知りません...勉強します・・・すみません。
このミサ曲は高い意識下で作曲されたものだと感じます.
キリエ冒頭の厳しい和音は、ことばにならない衝撃を私たち聴衆にもたらします。
このキリエ冒頭の動機は、続く「グローリア」では輝かしい光に変じます。同じ感動には「サンクトゥス」で再び出会うことになるでしょう。
対位法の使用についても意欲的です: "Cum Sancto Spiritu"のフーガ, "Et vitam venturi"での二重フーガ,t"Et resurrexit","Et unam sanctam","Hosanna in excelsis (at the last part of "Sanctus")でのカノン的処理,等々豊富です.
オーケストレーションもまた、よく工夫されています.
もっとも印象的なのは"Crucifixus"の部分です. ミュートを付けたトランペットが葬送的な雰囲気を醸しだし, 独奏altoトロンボーンは全人類の嘆きの代表者となります.
テキストの内容に即したテンポの変化のさせ方にも、よく耳を傾けてみましょう.

これらの演奏以前に, ヴォルフガングは別の宗教曲を2作仕上げています.
まずはK.47.作曲された経緯は不明です.
"Veni Sancte Spiritus" k.47は2部からなっています. 前半部はAllegro(3/4,95 bars),後半部は Presto("Alleluja"[2/4,103 bars])です. このハ長調の作品は、モーツァルトの音楽が好きな方の間では比較的よく知られた作品です。

ヴォルフガングのもうひとつのの宗教曲は"Missa Brebis"K.49です. こちらは K.117 などの4 日前に演奏されました.
K.139よりはずっと小規模ですが, 創作に当たっての精神的態度はK.139に全く劣りません.視点を変えると,K.49のほうが K.139よりすぐれた作品ではないかとさえ思えてきます. 音楽を圧縮しなければ成らなかった分, 必然的に質が高まった,とも言えるのではなかろうか,と.
例えば, "Kyrie"はひそやかに始まります(Adagio-Andante). "Forte"の指示は「強く」というよりは, 「心を込めて」と捉えるべきかも知れず,私の聴いたケーゲル指揮の録音では現実にそう解釈しています.
K.139同様, テキスト内容に応じたテンポ変化もなされていますが, 言葉の不要な繰り返しは慎重に避けられています.
なお、初演時には"Et in Spilitum Sanctum"のバス独唱を少女が歌ったそうです。彼女は美しい声の持ち主でしたが、その声というのが、大変に低かったのだということです。

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