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2006年6月 4日 (日)

ブルックナーの第3(4)

次項は長い表になって恐縮ですが、左から順に、第1稿・第2稿・第3稿の、各部の小節範囲を記します。既存の書籍、スコアの注釈などと区分けが相違している点があればご容赦下さい。以下に示す区分は私自身の解釈であるうえに、あまり細かくなりそうなところは少々端折っています。

特徴的な相違については表を掲載したあとの項で極力注記いたします。
なお、ワーグナー作品からの引用がどうだこうだということについては触れません。たとえば第1楽章には第3稿になってもトリスタン和音が生かされているなど、ワーグナーの影響をことさら無視してしまっては不都合な点もありますが、これに関して云々することは目的外ですので、詳しく追及されている方サイトを適宜お探しになって下さい。

比較は、便宜上Nowak版同士にて行います。。。って、第3稿以外はそれしか持っていない! とはいえ、「シャルク版」と呼ばれる生前2番目の出版譜は、Nowak版との相違点は実演を配慮したディナミーク・アーティキュレーション・ニュアンス付けの変更、および若干のオーケストレーション補強しかありません。「改悪」と呼ぶかどうかは第1稿、第2稿との違い、またはNowak校訂版を受け手がどう感じるかで異なると思います。・・・現実に、知人が録画して下さったものに、「Nowak版による演奏」と表記されていながら、聴いてみたらシャルク版の演奏だった、という例もありました・・・したがって、版の優越云々はしません。
版の優越云々に意味を感じられない理由は、「校訂報告書」に記載された、ブルックナーの第3に関係する同時代の批評文等から受けた印象によります。
これらからは、第7が好意的に受け入れられて以後、第3の評価も急速に良くなっていくのが窺われ(当時演奏されたのは第2稿)、第3稿が演奏されるようになると「短くなってさらに良くなった」という意味のことを行っている評論もあります。(他の作曲家でも、例えばラフマニノフの交響曲第2番なども短縮してからやっと聴衆受けが良くなっていますね。)
また、ブルックナーの伝記はシャルクの改訂を否定的に扱う傾向が強いですけれど、この「良くなった」第3稿はシャルクの手が入ったものでした。また、第3が評価を高めていった背景にシャルク兄弟による熱心な「第3普及活動」があったことも「校訂報告書」掲載のドキュメントから窺われます。そのうえ、シャルク版の演奏が成功して後、この作品が各地で爆発的に演奏されるようになっていくと、ブルックナー本人は不満だったどころか、かなり有頂天で上機嫌だった様子も、レーヴィやヴァインガルトナーといった指揮者達に自慢気な便りを出しているところから分かります。

※練習記号の配置は稿によって若干のズレ(終楽章のみは規模の変化により大幅なズレ)がありますが、第1稿を基本に記述しておきます。スコアをごらんになる際の目安としてはそれが最もよいと判断しました。とくにTMFのかたがたには、第何稿のものでもよい、スコアを(なるべくCDを聴きながらではなく)眺めて下さると有り難いと存じます。3稿すべてを見る必要はありません。

※Nowak版同士の比較、と言いつつ、それぞれの稿の出版元は入手時期や手段の違い、財政事情によって下記の通り不揃いです。もし協会版で統一的にご覧になり、練習記号等にズレがあるばあいには情報をいただければ幸いです。
第1稿:協会(全集)版、第2稿:1993年印刷のもの
第2稿:Eulenburg発行のもの。全集版準拠は謳っている。1993年印刷
第3稿:音楽之友社による協会版の日本ヴァージョン、1996年第5刷

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