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2006年5月24日 (水)

スケルツォで踊れます? (3)

交響曲にスケルツォを導入したのは確かにベートーヴェンの功績でしょうが、そこへ至る道を用意したのはパパ・ハイドンです。
ハイドンのロシア四重奏曲集作品33は、6曲全曲がメヌエットに換えてスケルツォを採用した弦楽四重奏曲群として有名です。
スケルツォと名前がついていても、これらはテンポ面ではメヌエットとの差が全くありません。それに・・・そう演奏してしまうからかも知れませんが・・・たとえば曲集中もっとも有名な「鳥」のスケルツォなどは、「諧謔」と言うにはあまりに気品があります。ハイドンが何を意図してこれらを「スケルツォ」と名付けたのか、首をかしげたくなります。ハイドンのユーモアを扱った英語の本でも、作品33に一章を割いてまで解説しているにも関わらず、そのスケルツォ楽章については全く触れられていないのも不思議な思いがしたものです。
ロシア四重奏曲集の「スケルツォ楽章」で特筆すべきは、それが第2楽章に置かれている点です。ベートーヴェンの9つの交響曲の中で、第8の古典的なメヌエットも含め、メヌエット或いはスケルツォ楽章が第2楽章に置かれたのは「第9」が初めてですから、ハイドンの配置は画期的だったと言っていいと思います。
スケルツォが「舞曲的」性格を明確にした最初の作例は誰によるものか、の追及は出来ませんでしたし、面倒になるのでやめておきます。ただ、「スケルツォ」はハイドンの例から伺うに、「舞曲的」になるにあたって、おそらく「ドイツ舞曲」と呼ばれるものと融合したのだろうと想像出来ます。ハイドンの例は聴けないものの、モーツァルトの「ドイツ舞曲」にメヌエット的なものが多くあることからの類推です。その後シューベルトの交響曲でのスケルツォは「ドイツ舞曲」がテンポを速めた「レントラー」になっていることからも、こうした流れは確認できると考えます。
「レントラー」的なスケルツォは、さらにボヘミア的な要素とも結びついて、ブルックナーの交響曲のスケルツォ楽章にみられる強烈なキャラクターを獲得するに至ったのではないか・・・というのが、私の推測です。
尻切れトンボですが、スケルツォの考察はこれくらいで。
また新たな材料があれば探ってみたいと思います。



Music
ハイドン:弦楽四重奏曲第39番「鳥」/第40番/第42番

アーティスト:コダーイ弦楽四重奏団

販売元:アイビィー

発売日:1993/01/01

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コメント

お久し振りです。

>ハイドンが何を意図してこれらを「スケルツォ」と…

僕の推察では、いわゆるよくあるメヌエットではなく、
舞曲性よりは内容面での充実を図っていることを
聴き手に伝えようという意図の表れ、と感じています。

ただ、ハイドンも名称上の違いは大した違いではないと
思い直したのか、それ以降はメヌエットで通していますね。
(内容面では後世の想像するベートーヴェン的スケルツォに
より近いものを持っているにもかかわらず。)
モーツァルトもハイドンセットにおいて、メヌエットの名で
もはや舞曲から程遠い内容のものを書いていたりしますし。


>それが第2楽章に置かれている点

当時の4楽章の交響曲では第2楽章に
メヌエットが置かれることも多かったらしいので
これはなんとも言えないかもです。


ドイツ舞曲との関連ですが、これは有り得るかと思います。
そもそもハイドンやモーツァルトのメヌエットには
「Allgretto」の指示を持つものがかなりあります。
これらは通常のメヌエットよりは速く演奏されるらしく、
ドイツ舞曲との違いはあまり感じられないことが多いようです。
そしてこれらはその内容の充実と相まっていわゆる
スケルツォの明確な先駆を為していると言っても
過言ではないのではないかと個人的には考えています。

ただ、ベートーヴェンのスケルツォのテンポに関しては、
ドイツ舞曲というよりジグ舞曲の影響を僕は聴き取ります。
かつてはシンフォニーのフィナーレの常連だったこの舞曲の
要素はシンフォニー終楽章の重量化とともに姿を消し、
今度は古くなりすぎ、速くもなっていたメヌエットに
とって代わったのではないか、という流れです。
ベートーヴェンのスケルツォが音楽史で高く評価される一方、
同時代的にはそんなに度肝を抜いているようには
感じられないのは、こういう理に適った移行があった
からではないかなあ、と。
(ちなみにハイドンの交響曲94番のメヌエットはAllgro molto
の指示を持っていて、これはテンポの上で立派な先駆ですね。)

投稿: Bunchou | 2009年11月 6日 (金) 13時08分

Bunchouさん、遅くなって済みません。

ブログを始めてあまり経たない頃の記事で、尻切れとんぼなものに、大変素晴らしい補足をして頂いたもの、と感謝しております。・・・まあ、いまなってもその手の者しか綴れていませんけれど。(^^;

舞曲的スケルツォのリズムにジグが影響を及ぼしたというのは、恐らく正しかろうと存じます。
当時の人の度肝を抜いたとは思えない、ということの理由も、古典シンフォニーの前身がセレナーデの整理されたものであり、セレナーデの前身が舞曲組曲だったことを考慮すれば、いたって自然かもしれませんね。

・・・ということで、セレナーデとシンフォニーの関係を、もう少しちゃんと見ていくことが課題になるかも知れないと感じさせて頂きました。

またまた宜しくお願い申し上げます。

・・・モーツァルト、止まっちゃってるし。(これから1年半くらいは家庭事情でペースが落ちると思います。すみません。)

投稿: ken | 2009年11月21日 (土) 00時08分

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