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2006年5月16日 (火)

天上の音楽

子供のころ読んだある本に、次のような趣旨の文がありました。
「天上の音楽というものがある。それは人間には聞こえない。」
これを読んで、聞こえない音楽、というものに何となく心を引かれたものでした。「天上の音楽」は本当に聞こえないのか? 試してみたくて、いろいろな音に耳を傾けたものでした。
明け方早くに窓を開けると聞こえる、遠い国道の夜行トラックの走行音。遠くから聞こえるというだけで、こんな音も結構神秘的に聞こえるものです。
「でも、これじゃないな」
小学生の分際で、安い天体望遠鏡を担いで夜歩きしたりしました。ある月食の夜、出かける前にテレビで『怪談・牡丹灯籠』を見ました。向かったのは昼間なら車も人もそこそこ多い場所なのですが、夜道で三脚を構えていると、恐ろしいほどシンと静まり返っていました。ちょっと怯えているのを誰かが見澄ましていたかのように、しばらくすると、遠くからカラン、コロンと下駄の音。半泣きになって家へ飛んで帰りましたっけ。・・・あの下駄の音も、けれど、天上の音楽ではありませんでした・・・あたりまえか。
やっぱり「天上の音楽」は人間には聞こえないのだろうか? いつも疑問に思いつつ、あれから35年経ちました。

そんな私が、今日、素晴らしい本に出会いました。
R.マリー・シェーファー『世界の調律』
平凡社ライブラリー 575  ¥1,900(税別)

20年前には単行本ででていたようですが、全然知りませんでした。この4月文庫になって、やっと目に入ったのです。(この本は、一般的な意味での「音楽」の本ではありません。音環境がテーマ、と言ってしまうと、しかし、内容を矮小化した要約になってしまいます。)
5百頁を超える本で、まだ序章以外は斜めに目を通しただけですが、「天上の音楽」についても触れられています。まずはこの本を読みすすめながら、大好きな音楽を中心に、音とは何か、を日々考えていきたい、と思い立った次第です。
『世界の調律』から、今日最も印象に残った部分の引用をして、はじめての「日記」とします。

 ルネサンスまでは神を描くことは不可能だった。
 それ以前、神は音や振動として理解されていたのである。
 (中略)
 それはまた、地球圏外の音楽、すなわち「天上の音楽」の
 存在に対する深く神秘的な信仰を思い出させる。
 こうした音楽はその振動に共鳴する魂にのみ
 時々聞こえるだけなのである。
(序章 38-39頁)



世界の調律 サウンドスケープとはなにか

世界の調律 サウンドスケープとはなにか

著者:R.マリー・シェーファー

販売元:平凡社

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