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2006年5月11日 (木)

「イタリア風」シンフォニア 3

ここでクリスチャン・バッハに注目すると、現在CDで聴けるオペラは2作のみしか見つけていません。楽譜は全く発見できませんでした。耳に出来た2つきりの具体例のうち、「シピオーネの慈悲」の序曲はイタリア風シンフォニアではありません。「急」一辺倒でそのまま第1幕になだれ込む序曲は、モーツァルトでいえば「フィガロの結婚」を想起させます。ただし、「フィガロの結婚」序曲のほうは音楽として完結していますが、「シピオーネの慈悲」の序曲はオペラ本体に切れ目なくつながっている点で、当時としてはユニークな作りをしています(とはいえ、前項のハッセのカンタータも序曲とカンタータ本体の間に切れ目がありませんから、もっと調べていけば案外豊富に作例が見つかるかも知れません)。もう1作品のセレナーデ「エンディミオーネ」の序曲は、典型的なイタリア風シンフォニアです(余談ですが、10年くらい前のアニメ「セーラームーン」の主人公の相手役男性は、その名をエンディミオンと言いました。見てた人、いらっしゃいます?)。
クリスチャン・バッハを尊敬したモーツァルトもオペラの序曲にイタリア風シンフォニアを作っています。明確なのは「ルチオ・シルラ」序曲で、それぞれ独立した急〜緩〜急の3楽章で成り立っています。・・・奇しくも、クリスチャン・バッハの作品18−2も「ルチオ・シルラ」序曲です。
「偽の女庭師」序曲は、知る限りで演奏に2例あります。オペラに直結する演奏では急〜緩までを演奏し、第1幕へと入っていきます。独立した演奏では、急〜緩のあとに急の部分を再度演奏します。ちょっと変則的ですね。オペラと一体化した例しか耳にしていませんが、16歳の時に初演した「シピオーネの夢」の序曲も、「偽の女庭師」と作りが似ています。
「後宮よりの誘拐(逃走)」序曲は急〜緩〜急が一体化した「イタリア風シンフォニア」の代表例と見なされているようですが、実はこれは「イタリア風シンフォニア」とは似て非なるものではないかと私は思います。第1に、この作品はジングシュピールですから、序曲がイタリア風である必然性はありません。第2に、中間の「緩」の部分は歌劇本体に現れるアリアの旋律であり、このことだけで、オペラ本体と全く無縁な旋律から成り立つ(はずの)イタリア風シンフォニアとは一線を画しています。
以上、イタリア風シンフォニアがオペラと密接に関わっている事例を挙げてきましたが、オペラとは関係なく作り続けられたイタリア風シンフォニアも存在します。次に、ハイドン、モーツァルトのそうした事例をみてみましょう。

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