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2006年5月28日 (日)

K.6 から K.9まで及び K.10からK.15まで(3)

K.10-K.15

これらの『ロンドン・ソナタ」はK6-K9とまるきり同じ考え方で出来ているのかな、と思って録音を聴いていると、どこか違うのです。それに、タイトルに「チェロ」が含まれているのも気になります。果たして、チェロは単にクラヴィアの左手をなぞっているだけなのだろうか? それなら何故、『パリ・ソナタ』と違って、わざわざチェロパートまで付けたのだろうか? それは、1966年の新全集がそう分類したように、トリオソナタを意図して書いたためなのだろうか?

トリオソナタを意図したかどうか、となると、そもそもトリオソナタとは何ぞや、ということに全く疎い私には解決の糸口がありません。
かつ、楽譜をちらりと眺めただけですと、チェロはクラヴィアの左手をなぞっている、というのはほとんど間違いの無いところです。

ですが、よくよく見ると、チェロは単純にクラヴィアの補強をしているのではないことが分かってきます。
クラヴィアはおそらくチェンバロを指すものだ、ということですから、ピアノに比べれば持続音は苦手でしょう。チェロの書き方は、チェンバロの低音に持続性を与えるための補強をしている、という点は、楽譜によって最初に判明する事実です(端的な例はK.10第1楽章の冒頭)。
また、場所によってクラヴィアを引き立てさせたいときには、チェロには音を与えていません(K.11第2楽章の47-48小節、K12第1楽章の43小節、K14最終楽章の49-54小節、97-100小節など。この部分のクラヴィアにはチェロには高すぎる音稿を与えているので、そのせいでチェロに音を与えなかった、と考えても良いのですが、響き、音色を効果的にするための演出と考えたほうが、音楽の流れからいって自然だと感じます。とくにK14の例は前後の音符の描き方から見てそう判断すべきだと思います)。
ほんの些細な例しか見付けていませんが、そもそもチェロがクラヴィアと違う働きをしている箇所もあります(K10第1楽章3小節、及び同様又は類似の動きをする箇所。たんに、クラヴィアが音を移動しない場所でチェロはオクターヴ下降する、というだけのことですが、それでも実際にお弾きになれば、これをオクターヴ下げるか同じ音程のままで弾くかで印象が大きく異なることを実感頂ける筈です)。

また、クラヴィアだけのヴァージョンは見つけておりませんので断言は出来ませんが、少なくとも譜面上は『パリ・ソナタ」のクラヴィアパートとは違い、和音を補強するための音の追加はなされていないように見えます。
ですので、『ロンドン・ソナタ」には、『パリ・ソナタ」よりも父レオポルドのチェックが入っていないかも知れません。。。(もっとも、『女王陛下音楽図書館」所蔵の楽譜の中には、『ロンドン・ソナタ』のヴァイオリンパートはレオポルドの自筆のものが残っているそうです。)

なお、CDは2種類見つけましたが、いずれもフルートによる演奏です。
国内盤ではオーレル・ニコレが小林道夫のピアノと共演したものが廉価で出ています。演奏の内容は、フルートがクラヴィアの右手部分を吹き、ピアノの右手はオリジナルでフルート(ヴァイオリン)のために書いた「単純な」パートを弾いている、というものでした(これも立ち読みの楽譜で確認しました)。楽譜の解説によると、「こういう演奏の仕方も許される」のだそうです。ニコレたちが用いたのは、しかし、オリジナル譜ではなく、ヨゼフ・ポップというスイスのフルーティストが編曲したものだ、とCDの解説に記されていました。ポップの編曲は1959年にバーゼルで出版されている、と、ベーレンライター版の解説に注記されています。これらの作品の実用譜としては従来唯一のものだった由。

各曲については、構成のみ記します。ご容赦下さい。

K.10( in Bb major, 3 movements)
1.Allegro 2.Andante 3.Menuetto I & II

K.11( in G major, 3 movements)
1.Andante 2.Allegro 3.Menuetto

K.12( in A major, 2 movements)
1.Andante 2.Allegro

K.13( in F major, 3 movements)
1.Allegro 2.Andante 3.Menuetto I & II

K.14( in C major, 3 movements)
1.Allegro 2.Allegro 3.Menuetto I & II

K.15( in Bb major, 2 movements)
1.Andante maestoso 2.Allegro grazioso



モーツァルト:フルートソナタ


モーツァルト:フルートソナタ


アーティスト:ニコレ(オーレル)

販売元:ユニバーサルクラシック

発売日:2003/11/26

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