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2006年5月17日 (水)

メヌエット問題!:6 本当に踊られたのか?

リュリと同時代の、メヌエットを含む様々な舞曲の「舞踏譜」というものが残っています(浜中康子「栄華のバロック・ダンス」)。舞曲をどう踊るのか、を、記号で記した振付図です。それを見ると、同じ「メヌエット」というものに対しても、曲のリズムなどによって何通りもの振付で踊られたことが伺えます。また、併せて、たとえばモーツァルトのオペラ「ドン=ジョヴァンニ」の中の有名なメヌエットのシーンでも、17〜18世紀に踊られていたメヌエット通りの振付で踊られていることはめったに無い、ということまで分かります。ただし、私はバロック・ダンスそのものがどう踊られるのかを目にしたことは無く、文献からだけの推測では踊りの姿を完全にイメージすることは出来ていません。映像はでていますが、いまは金欠で買えません(T T)。
一方、前項で出てきたマッテソンは、メヌエットではなくアルマンドについてなのですが、こんな言葉を残しています。
「踊るためのアルマンドと弾くためのアルマンドとでは天と地ほどの違いがある。」
勝手な類推ですけれど、この言葉は他の舞曲にも敷延してよいのではないでしょうか? たとえば、先にも言いましたが、大バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ中のメヌエットで踊った人たちがいる、とは、普通にはどうしても考えられないとはお思いになりませんか?
バロック期はともかく、舞曲だけによる組曲が衰退し、大バッハの子供たちの時代には「シンフォニア」のなかに残っている舞曲はもはやメヌエットだけになりました。3、4楽章からなるシンフォニアが通しで演奏されたとは限らないものの、1楽章を除いて舞曲が無い作品が踊りのためであった、などというのはナンセンスでしょう。
したがって、「シンフォニア」に取り込まれたメヌエットは「踊られなかった」のではないか、というのが私の推論です。本当は「踊られた」と分かっているメヌエットと「シンフォニア」のメヌエットのリズムパターンなどを精査することで、初めて正しい結論が出せるのだろう、と思っております。それでも、直感的に聴いた場合、舞曲としての特徴をよく保っているリュリから大バッハまでのメヌエットと、モーツァルトの後期交響曲のメヌエットは、あきらかにまるきり異なったリズムパターンを持っているように感じ取れますから、あながち間違った推論でもないでしょう?
・・・とはいえ、様々な「メヌエット」の比較検討は、いずれやってみるべきだな、と感じております。



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