« スケルツォで踊れます? (2) | トップページ | 自然の音? 人工の音? »

2006年5月24日 (水)

スケルツォで踊れます? (1)

交響曲が独立性を強め、ベートーヴェンによる様式的完成を経てブラームスのデリカシーやブルックナーの荘厳さに至るまでに、大きく2つのことが起っていますね。

1つは、通奏低音の消滅です。
「え?」
とお感じになられるかも知れませんが、交響曲の指揮に際してチェンバロ(またはフォルテピアノだったのでしょうか)が使われなくなった正確な時期は分かっていません。菊地先生にお聞きしたところでは、実質上、モーツァルトが使っていたのが最後だろう、とのことでした。楽譜に通奏低音の数字が記されていないのは、
「彼は自分で弾いたわけだからね。」
和音が分かり切っていたから、必要なかった、という次第(全集では初期の数曲には数字付低音がみられますし、註には「数字が無いからといってチェンバロを使わなかった、という意味ではないので留意せよ」との旨が記されています)。
オペラの楽譜についてもコトは同じで、たとえば「ドン=ジョヴァンニ」の印刷譜は、レシタティーヴォ・セッコの部分は鍵盤が弾くべき和音が大譜表でしっかり音符化されています。ところが、自筆譜では、レシタティーヴォの部分はヘ音記号で全音符1個が書かれているだけ。和音は記されていないのです。モーツァルトが自分で和音を判断して補っていた証拠です。
世代はモーツァルトが最後だとして、彼の死後も、交響曲の指揮に鍵盤楽器を用いていた事例は、ハイドンに見られます。ベートーヴェンの交響曲第7番の初演はサリエーリが指揮していますけれど、このときもそうだったかも知れません。(違ったら、ご教示下さい。)

もう1点は、4楽章構成が確立されたあと、その第3楽章に不動の地位を占めていたメヌエットが、ベートーヴェンによって追放され、その座をスケルツォに明け渡したことです。

このスケルツォというやつ、先週取り上げたメヌエット以上に得体が知れません。
(下にリンクを貼ったピノックの全集は全曲チェンバロ入りです。輸入盤が見つかればそちらのほうが4千円くらい安いですヨ!)



モーツァルト:交響曲全集

Music
モーツァルト:交響曲全集

アーティスト:ピノック(トレヴァー)

販売元:ユニバーサルクラシック

発売日:2006/03/08

Amazon.co.jpで詳細を確認する


|

« スケルツォで踊れます? (2) | トップページ | 自然の音? 人工の音? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95716/1926257

この記事へのトラックバック一覧です: スケルツォで踊れます? (1):

« スケルツォで踊れます? (2) | トップページ | 自然の音? 人工の音? »